日経平均が長期上昇でも目先イマイチと読む訳 悲観する必要はないが複数の波乱要因に注意
足元では、6月上旬にかけての株価上昇を作り出してしまった買い方が、「しまった、もしかすると高値で買ってしまったかもしれない」との疑義を抱き、今度は早めに逃げようとして、高値で戻り売りの手じまいを急いでいるわけだ。
逆に、それほどの買いをこれまで行わず、長期的に株価が上昇すると考える投資家は、最近の下値で買いを入れている感もある。つまり現状以降は、強気と弱気が交錯して、株価が保ち合いを続けやすい様相が強まっていくだろう。
アメリカの景況感に調整が入る可能性も
目先の投資家動向はさておき、材料面でも、現時点で世界市場が好材料と見なしているものについて、いったんの見直しが入り、株価の上値が重くなる、もしくは軽い株価下振れが生じる恐れがある(ただし、繰り返しになるが、長期的には楽観はしている)。
まず、述べたように、経済活動が主要国で5月以降持ち直しに入っているという点については、足元ではアメリカでの失業保険給付の大盤振る舞いに支えられている面もある。
同国では、失業保険は州政府が給付する。だが、コロナウイルスの流行により職を失ったと認められた場合は、連邦政府がその給付金に、週当たり600ドルを上乗せしている。このため、失業前より手取りが多いケースが失業者の76%を占めるとの試算(ゴールドマン・サックスによる)もある、と報じられている。
この連邦政府の上乗せは、7月中の失業保険申請までは認められるが、その後は打ち切りが予定されている。議会では、中間層への手厚い支援を党是とする民主党が、連邦政府の上乗せ給付期間の延長を求めている。だが、自由主義経済を標榜する(同時に「小さい政府」を目指す)共和党は、予定通りの打ち切りを主張している。このため、連邦政府からの追加金給付の延長がない、という事態も有力で、追加給付打ち切りから所得環境のしっかりとした回復までの間、アメリカの個人消費が一時的に落ち込む「エアポケット」が生じうる。
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