日経平均が長期上昇でも目先イマイチと読む訳 悲観する必要はないが複数の波乱要因に注意

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もう1つの政策対応については、日米欧とも、財政と金融の両面で景気支持策が多く打ち出されている。特にアメリカの「金(カネ)余りの度合い」については、5月25日付のコラム「『株価は暴落するはず』と考える人に欠けた視点」でも述べた通りだ。すなわち、マネタリーベース(米連銀が結果として散布した資金量)の前年比の伸びは、リーマンショック直後の量的緩和第1弾を下回っているにもかかわらず、M2(米経済全体の資金量)前年比は当時を上回っていることを指摘し、その背景要因も解説した。

とはいえ、目先は上値が重い展開か

このように、長期的な株価展望は全く変わっていない。だからといって「ではこれでコラムはおしまいです」と書くというわけにもいかない(笑)し、短期では必ずしも上昇とは言えない。そこで、今回は当面の展望を中心に述べよう。

短期的には、主要国の株価はやや下押す恐れがありそうだ。とは言っても軽い調整程度で、その後保ち合いの色合いが濃く、上値を明確に追い始めるには、秋を待つ必要があるかもしれない。

なぜかというと、これは主に投資家の買い戻し一巡が続くと想定されることによる。終値ベースの直近の戻り高値は、日経平均では2万3178円(6月8日)、ニューヨークダウは2万7572ドル(同日)だった。

なぜここまでの株価上昇がもたらされたのか。「コロナ禍で世界の景気はどんどん悪くなっていくに違いないから、株価が上がるはずはない」と信じ、株価指数先物などを売り越していた投機筋や、押し目をずっと待っていた投資家などの見通しが外れたからだ。想定外の株価上昇で、売り持ちの買い戻しや、押し目を待ちきれずの買いに、追い込まれたからだと推察している。

つまり、株価が上がるから買う、買うから上がる、という循環に入って、6月上旬の日米株価の高値が形成されたのだろう。

そうした弱気筋の「転向」によって生じた株価上昇は、心変わりをした投資家の買いが一巡すれば、いったんは終わりを迎える。そのため、6月8日より後は、主要国の株価は調整気味に推移していると考えられる。

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