米国が不況でも株高なのに日本は冴えないワケ 「日米の相対的な株価格差」は再び「戦後最大」に

✎ 1〜 ✎ 159 ✎ 160 ✎ 161 ✎ 最新
拡大
縮小
トランプ大統領の行動には一貫性がない。新型コロナの影響も深刻だ。それでも株価は好調で、「日米格差」は「戦後最大」だ。この差はどこから来るのか(写真:ロイター/アフロ)

7月のアメリカ株式市場は、ハイテク株を中心に上昇、S&P500指数は年初来のリターンがついに同月末プラスに転じた。同国では、6月半ばから新型コロナウイルスの感染者拡大によって経済復調にブレーキがかかっているが、株高トレンドを崩すには至ってない。

アメリカは所得補償で戦後最大の経済ショックを緩和

この連載の一覧はこちら

株高を支えているのは、トランプ政権が大規模な財政金融政策を打ち出し、それらによって経済がいずれ正常化するとの期待が強まっているためだ。7月24日のコラム「日本はコロナ大量感染の米国よりも深刻になる」でも述べたが、同政権は第2次世界大戦時と同様にGDP比20%規模まで財政赤字を拡大させる勢いで4月から未曾有の財政政策を発動している。

この財政政策の特徴は、迅速かつ大規模に家計を中心に所得補償を行い、戦後最大の経済ショックの緩和を試みていることである。

7月末に判明した4~6月GDPは前期から約10%も縮小したが、それとは反対に4~6月の家計所得は前期比でプラス9%も増えた。経済封鎖で失業率は依然戦後最高水準にあるが、アメリカの家計全体で見れば、政府からの所得移転でむしろ貯蓄が大きく積み上がっている。

また、7月のアメリカ株高には、ワクチンの開発期待による医療バイオ関連銘柄の上昇も影響した。「国策によるワクチン買い上げ」という財政支出拡大によって関連企業が大きな利益を膨らませるとの期待が、株式市場の上昇を後押ししたとみられる。

次ページ8月以降もアメリカの株高が崩れにくい理由
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT