7月のアメリカ株式市場は、ハイテク株を中心に上昇、S&P500指数は年初来のリターンがついに同月末プラスに転じた。同国では、6月半ばから新型コロナウイルスの感染者拡大によって経済復調にブレーキがかかっているが、株高トレンドを崩すには至ってない。
アメリカは所得補償で戦後最大の経済ショックを緩和
株高を支えているのは、トランプ政権が大規模な財政金融政策を打ち出し、それらによって経済がいずれ正常化するとの期待が強まっているためだ。7月24日のコラム「日本はコロナ大量感染の米国よりも深刻になる」でも述べたが、同政権は第2次世界大戦時と同様にGDP比20%規模まで財政赤字を拡大させる勢いで4月から未曾有の財政政策を発動している。
この財政政策の特徴は、迅速かつ大規模に家計を中心に所得補償を行い、戦後最大の経済ショックの緩和を試みていることである。
7月末に判明した4~6月GDPは前期から約10%も縮小したが、それとは反対に4~6月の家計所得は前期比でプラス9%も増えた。経済封鎖で失業率は依然戦後最高水準にあるが、アメリカの家計全体で見れば、政府からの所得移転でむしろ貯蓄が大きく積み上がっている。
また、7月のアメリカ株高には、ワクチンの開発期待による医療バイオ関連銘柄の上昇も影響した。「国策によるワクチン買い上げ」という財政支出拡大によって関連企業が大きな利益を膨らませるとの期待が、株式市場の上昇を後押ししたとみられる。
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