在宅勤務で日本の生産性は本当に改善するのか

そもそも「アメリカの7割以下」は低すぎる?

在宅勤務をすれば生産性が上がるのだろうか。筆者は別の観点に注目する(写真:PanKR / PIXTA)

アメリカ株(S&P500指数)は、6月初旬に最高値をつけた後に一時急落したものの、その後は総じて持ち直しつつある。

同株にとってのプラス材料は、経済活動再開、金融財政政策の効果発現だ。一方、マイナス材料は、新型コロナウイルス感染拡大、国内政治情勢、中国との緊張関係悪化であり、現状はこれらの綱引きの状況となっている。筆者は、夏場から秋口にかけて、新型コロナウイルスの感染拡大や政治的に追加財政政策発動が遅れることなどで経済回復期待が低下、これがアメリカ株の調整をもたらすリスクを引き続き警戒している。

在宅勤務のプラス面は少なくない

ところで、今回のコラムでは目先の金融市場から離れ、コロナ後の日本経済を取り上げる。日本でもコロナ問題が一服する中で、コロナ後に我々の経済、社会がどう変わるかさまざまな議論が盛り上がっている。一つの論点は、コロナ騒動をきっかけに働き方が変わることの影響だろう。特に都市部では、公共交通機関による通勤に伴う健康被害リスクがクローズアップされ、職種にもよるが在宅勤務などの利用が広がった。

これで、柔軟かつ多様な働き方が可能になったと歓迎する見方が聞かれる。筆者も都心の職場に通うサラリーマンの1人であり、心情的には理解できる部分がある。まず、通勤時間が節約できるので「ワークライフバランス」が改善する。また、子育てや介護など家庭の事情で通勤が物理的に難しい労働者にとって、在宅やリモート勤務が当たり前になれば、労働機会が広がり経済活動全体を底上げする側面がある。

一方、在宅やリモート勤務の広がりによって、旧態依然とした働き方の問題が顕在化したとの見方がある。さらに「在宅勤務の広がりでこれまで低かった日本の労働生産性が改善する」、との見解を一部論者が披露している。この見方の背景には、日本の硬直的な労働慣行や様々な規制が、労働生産性低下を招いたとの考えがあるのだろう。もちろん古い慣行としては、ハンコや紙文化も含まれる。

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