「株価は急落する」と決めつける人に欠けた視点 7月以降に「コロナ禍無視の反動」は来るのか?

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アメリカでは新型コロナ感染者が増え続け、「今の株価は高すぎる」との警戒感は消えない。どう考えればいいのだろうか(写真:ZUMA Press/アフロ)

今回も結論から先に言えば、マクロ的な(全体観からの)国内株価を動かしている材料や、先行きの展望は全く変わらない。日経平均株価は、持ち合いから徐々に強含んでいくと予想しており、年末は2万4000円辺りに位置すると見込む。

経済指標の回復基調は次第に明確になっている

そうした見解の背景となる要因は、世界経済の回復と新型コロナウイルスの流行「第2波」懸念との、綱引きだ。徐々に時間が経つにつれて、景気回復の色合いが勝り、株価をじわじわと押し上げていくものと見込んでいる。

足元の株式市況を動かしている材料も、ほとんど変わらない。同様に、主要国の経済指標は徐々に回復色を強めている一方で、「今のところは」第2波の懸念も根強い。ただ、第2波が第1波をはるかに上回るほどの惨状にならない限り、経済主体(家計や企業)の行動は、第1波ほどの委縮とはならないだろう、という点は、前回のコラム「コロナ第2波到来でも株価はあまり下がらない」で解説した。

そうした2つの材料の綱引き(最終的には景気回復が勝る)に、好材料としてはワクチン開発などの期待が、悪材料としては米中関係の悪化懸念などが、いくばくか加わる、という構図が続くだろう(米中関係についても、前回述べた)。

経済指標の回復基調を確認すると、前回のコラムから今回掲載分までの2週間の間についても、アメリカでは4月を最悪期として5、6月に持ち直す経済指標が圧倒的に多い。具体的にここ2週間発表されたものだけをみても、6月のISM非製造業指数(6日(月)発表、5月の45.4から57.1に上昇)、鉱工業生産(15日(水)発表、前月比5.4%増)、小売売上高(16日(木)発表、前月比7.5%増)、住宅着工件数(17日(金)発表、前月比17.3%増)と、ことごとく強かった。

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