「株価は急落する」と決めつける人に欠けた視点 7月以降に「コロナ禍無視の反動」は来るのか?
実際、先週は半導体やハイテクの銘柄の株価の足が止まった。だが、ナスダック総合指数は下落したものの、キャタピラーなど他の景気敏感銘柄が買い上げられ、アメリカ株の市況全体としては堅調な推移になった。
こうしたアメリカ株の物色動向を受けて、日本でも半導体関連や他の電子部品株に株価が軟調になるものが表れた。だがやはり、鉄鋼、非鉄金属、海運、鉱業といった景気敏感・国際商品市況関連の業種では、堅調に推移した銘柄が目立った。
また、さまざまな投資尺度(PER=株価収益率やPBR=株価純資産倍率)で割安にずっと放置されていた、自動車株に動意がみられ、不動産株など配当利回りが高い株も買い上げられる局面があった。つまり、あるセクターの株価が崩れても、他のセクターに物色が写って、うまく物色の循環が働き、株式市況全般として下支えとなったように見受けられた。
逆に17日(金)は、日米ともに、また半導体・ハイテクセクターに物色が戻った。このように、物色の先行組と遅行組で、キャッチボールのように交互に買いが入る状況が大きな切れ目もなく続けば、株式市況全般としても息長い堅調相場が続くと期待できるだろう。つまり、冒頭でマクロ的な見地から述べたような、「長期強含み全体株価シナリオ」が、ミクロ的な物色という観点からも支持されると言える。
4~6月期の不振は株価にすでに織り込まれた可能性
なお、4~6月期の企業決算については、アメリカで発表社数が先週から増え始め、日本でも少し遅れて公表が本格化する。この決算の内容が悪いから、それをきっかけに日米等主要国の株価は大きく崩れていく、と主張する向きがあるようだ。
そうした主張の背景には「景気や企業収益がコロナ禍で悪いのに、それを無視して株価が上がっているのはおかしい」という考えがあるのだろう。しかし、前述のように、4~5月の日米の経済統計が底をつけ不振だったことは、すでに明らかになっている。
こうした月次のマクロ経済動向や、月次の売り上げを公表している企業の既発表数値からみれば、4~6月期の決算が前年比ベースで極めて悪いことも、わかり切っているだろう。わかり切っている悪い決算で、驚いて投資家が株式を投げ売りし、株式市況全般が大きく下落するような事態は、想定しにくい。この期間の決算不振を承知のうえで、今の株価が形成されていると解釈すべきだ。
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