「2時間ドラマ」が絶滅危機に陥った只1つの理由 面白さの追求を捨てた作品に未来はない

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もちろん、NHKにも秀逸な2時間モノがあるのだが、定番ではないし、潤沢な資金と時間と人材が揃っているので、今回はあえて触れない。スポンサー減で青息吐息の民放局(中部日本放送やメ~テレなど地方局も)に頑張っていただきたく。

これらの作品で共通項があるとしたら、いずれも「こうあるべき」「こうくるだろう」という先入観や思い込みを裏切るところだ。勧善懲悪ではないし、明快な答えがあるとは限らない。そしてどこか自分事に置き換えてとらえることができるようなテーマでもある。視点を変える、別の角度から見る。それを促してくれたのだ。

新たな風を吹かせた『スイッチ』

今回、2時間ドラマをお題に据えたのは、心の底から感嘆した2時間モノに遭遇したから。6月21日に放送した『スイッチ』(テレ朝)だ。弁護士と検事が主人公、事件解明に向かう展開という点ではさんざんくさしてきた設定なのだが、清く正しい人ではない。

松たか子は弁護士、阿部サダヲは検事。元恋人のふたりがお互いを、そして新しい恋人までも貶め合う。節度ある大人の国家資格者が皮肉と嫌みと悪口を言い合うのだ。そんなもんだよ、大人は。

見ず知らずの人の背中を押してケガをさせる「悪意」ある連続事件を軸に、容疑者の弁護についた松と、立件したい阿部が対立する構図に。対立すると思いきや、事件の真相には他の事件が絡んでいた。被害者と加害者の背景を追って、真相をつきとめていくふたり。対立ではなく、協調へ。

さらには「スイッチ」のタイトルが何を意味するのか、ふたりの半生が明らかに。協調から共犯へ。いや、犯罪ではなく復讐であり、正義の鉄槌でもある。

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