「2時間ドラマ」が絶滅危機に陥った只1つの理由

面白さの追求を捨てた作品に未来はない

最近は「崖」で対峙する刑事と犯人も見なくなった……。「2時間ドラマ」衰退の理由とは?(写真:空/PIXTA)

「2時間ドラマ」と聞いて、具体的な作品が頭に浮かぶのは、おそらく40代から上の世代。若い人は耐性がないし、定番の展開や予定調和に対しても狭量だ。もっと刺激的かつ端的で手軽なコンテンツの在り処を知っているから。「なぜか崖の上で事件解説するやつ」くらいの印象ではなかろうか。いや、それすらも怪しい。

そりゃそうだ、とも思う。

昭和から連綿と続く「お決まりの展開」に新奇性はない。「観光地と交通機関のタイアップ」「型破りな主人公(警察や検察、弁護士、医師、その他公務員)が事件を解決」「素っ頓狂な主人公(旅行ライターやら温泉旅館の女将やら葬儀屋など)がうっかり事件に巻き込まれながらも事件を解決」。「おや?(斬新)、まあ!(驚愕)、へえ~(知新)」のない2時間はさぞや苦痛だろう。

テレビ局も、時代と共に2時間ドラマ枠を着々と減らした。各局が軒並み2時間ドラマ枠をつぶし、謎の「なんでもアリ枠」にして、ドラマ限定から逃げた。他の特番や映画も入れこみ、時々ドラマを放り込む程度の作戦に出た。「ドラマで視聴率惨敗」よりも「視聴者は定着しないがリスク分散」を選んだわけだ。

昔は良かった「2時間ドラマ」

48歳としては、少しだけ思い出を語らせてほしい。古くは1970年代の天知茂の『江戸川乱歩』シリーズに始まり、市原悦子の『家政婦は見た!』や古谷一行の『金田一耕助』シリーズが好きだった。

古谷一行、市原悦子などかつては名俳優で彩られた「2時間ドラマ」(写真:時事通信)

新しいところ(つっても90年代)で言えば、いかりや長介の『取調室』(いぶし銀で粘り腰の長さんが取調室で繰り広げる、動きのない心理戦)に、西村和彦の『警視庁鑑識班』(科捜研の本田博太郎が強烈)シリーズ、渡瀬恒彦の『タクシードライバーの推理日誌』(元一課の敏腕刑事で今は運転手が事件にやたらと巻き込まれる)、松下由樹の『おとり捜査官・北見志穂』(松下のおとりにやや無理があるところや、粗雑でタバコが似合う蟹江敬三とのコンビ愛が秀逸)、橋爪功の『赤かぶ検事』(尾張弁の愛おしさを知った)シリーズも好きだった。枠でいえば、日テレの『火曜サスペンス劇場』、テレ朝の『土曜ワイド劇場』(再放送は『傑作ワイド劇場』)が好物だったな。

ただし、時代は令和。この昔ながらのフォーマットも絶滅しかけている。起死回生を狙ってか、テレ朝が2017年、日曜朝に2時間ドラマ枠「日曜ワイド」を設けた。安田顕主演『白い刑事』(元弁護士の刑事で白いスーツを着ている)とか、松重豊主演『内閣情報調査室 特命調査官・ハト』(町の電器屋のオヤジが実は内調)とか。私は好きだったが、視聴者から黙殺され、ひっそりこっそり終了してしまった。

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