エキセントリックなキャラクターを演じる田中みな実
2020年上半期に話題を作った作品のひとつに、平成の歌姫・浜崎あゆみの誕生物語を描いたテレビ朝日とABEMAの共同制作ドラマ『M 愛すべき人がいて』が挙げられます。90年代の音楽業界で起こった実話をもとに、限りなくコントに近い連続ドラマに仕立て、ヒットにつながっています。ツイッター世界のトレンド入りも記録したほどの盛り上がりはなぜ作られたのでしょうか。
ドラマの原作はノンフィクション作家・小松成美氏が浜崎あゆみへの取材をもとに書き上げた同名小説(幻冬舎刊)です。浜崎あゆみが駆け出しの頃、所属するエイベックスの松浦勝人現会長(当時は専務)と恋仲であったことをつづり、暴露本としても注目されました。
現役の2人の過去の事実だけでも話題性はありますが、映像化された今回の作品はそんな生々しさとは無縁。新人女優の安斉かれん演じる「アユ」が浜崎あゆみであることや、三浦翔平演じる「マサ」が松浦氏であること、そしてレコード会社「A VICTORY」がエイベックスであることを承知のうえで、好奇の目で見ていると肩透かしを食らいます。
小室哲哉など実在する人物を明らかにイメージした登場人物も続々と並び、使われる楽曲もリアルな浜崎あゆみの歌が流れますが、非現実的な演出が強引にも差し込まれ「これはコントですよ」と主張されるからです。
鬼講師・天馬まゆみ役の水野美紀をはじめ、サンミュージックをイメージする事務所の社長・中谷役の高橋克典、「A VICTORY」社長・大浜役の高嶋政伸らのドラマのために作り込まれた強烈なキャラクターには思わず目が離せなくなるほど。
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