インドで働く日本人社員をいかにケアするべきか? -第1回(全3回)「住居と食事」編
OECDの経済見通しによれば、2010年の日本の経済成長率は1.8%増であるのに対して、インドはなんと7.3%の増加。インドの高成長は2011年以降も続く。
少子高齢化の進む日本に依存していたのでは、日本企業は成長できない。今後、インドへ進出する日本企業は増加することだろう。
これまでインド進出といえば、インド人従業員をいかにマネジメントするかということばかりが注目されてきた。
しかし、インド国内で働く日本人社員のマネジメントを忘れてはならない。苛酷な環境の中で日本人社員の心身の健康を守りながら、モチベーションを維持させるのは容易なことではないのだ。
インドで成功している日本企業は日本人社員のために何をしてきたのだろうか?
三菱化学がインドにPTA(高純度テレフタル酸)を生産する子会社MCPIを設立したのは1997年2月。2000年2月から稼働、09年には新設備が完成し、現在ではインド国内第2位のPTA生産会社となっている。三菱化学の出資比率は66%。
三菱化学・人事部労制グループ・後藤啓グループマネジャーは98年から01年まで、インドに駐在してMCPIの人事総務部長として工場立ち上げに従事した。後藤グループマネジャーにインドにおける日本人社員のマネジメントについて聞いた。
--工場はどのような場所にあるのですか?
インド東部の西ベンガル州にあります。主要都市の一つであるコルカタ(カルカッタ)から南へ約130キロメートル南のハルディアという町にあります。何もないような田園地帯です。
130キロメートルといっても道路が整備されていないので、最低でも3時間、時には8時間かかることもありました。コルカタに住んでハルディアの工場に通勤することは不可能です。
--工場の近くに住む場所は確保できたのですか?
衛生や安全面から日本人が住めるような住宅施設はありません。そこで、工場から車で20分程度の場所に社宅を建設しました。敷地を塀で囲い、その中に住居棟、食堂、テニスコート、プール、ゴルフの打ち放し練習場などを作りました。