吸血はしないが、皮膚炎を発症させることも。餌となるダニが増えると当然ツメダニも増えるので、「かゆい、ダニかも?」と思ったときにはすでにダニが繁殖している可能性が高い。
感染症のリスクがあるのは主にネズミに寄生する「イエダニ」だ。宿主が死ぬ、あるいは巣で大発生すると移動して人を吸血する場合がある。室内ダニの1%以下と割合は低いが、退治するときはまずネズミの駆除も必要だ。ほか、「マダニ」も感染症のおそれがあるが、屋外に生息するダニなので今回は割愛する。
いずれのダニも体長1mm以下、室内ダニで最も数の多いヒョウヒダニは0.2~0.4mm。肉眼では見えず、対策の成果が出ているのか実感できない点が厄介だが、ダニが多い場所は決まっている。「寝室、敷物や布製ソファのあるリビング、畳など人が長くいる場所。つまりフケや垢、汗がたまりやすいところ」(渡辺さん)だ。
寿命はわずか2~3カ月だが、繁殖力が凄まじい。環境が整うと1組のつがいから2カ月で約3000匹にも増えるという。衣類にもつき人を介して移動するためゼロにすることはもはや不可能。よって、いかに繁殖させないかといった視点での対策が重要となる。
駆除・掃除・忌避・除湿の合わせ技が効果的
しかし、押さえるべきポイントは明快。生きているダニを「駆除」して増やさないようにすること、そして「掃除」でアレルゲンとなる死骸やフンを除去することだ。
まずは駆除。ダニは50℃なら30分で死滅する。60℃以上では即死だ。天日干しではここまで高温にならないため駆除できないが、布団乾燥機は「50℃以上かつ30分以上」の設定で使えば布団やマットレスのダニを殺すのに有効となる。枕やぬいぐるみ、衣類などのダニはスチームアイロン、カーペットなどにはスチームクリーナーなどでも駆除が可能。しかし、忙しい人はこれらを小まめに行うのは難しいのではないだろうか。
「やはりきちんと駆除するには薬剤の助けが必要」と、渡辺さん。最も効果的なのは、部屋中に薬剤が行き渡る燻煙剤タイプの使用だという。しかし、家電にカバーをかけたりペットを外に出したりといった準備を面倒に思う人もいるだろう。
そんな人には、手軽なハンドポンプ式のスプレーがおすすめだ。同社では「ダニアーススプレー」という商品名で売られている。2004年に発売され、現在防ダニ商品の中で売上げナンバーワンだという。布団やソファなど気になる場所にスプレーするだけで、24時間後に8~9割のダニが死滅するほどの威力を発揮。さらに1カ月間は増殖抑制効果も期待できるそうだ。ただ、畳に関しては「ダニアース」のようにノズルで内部まで薬剤を注入できる専用のものが効果的だという。
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