自粛でフランス人に起きた劇的「価値観シフト」

不便を受け入れる一方、取捨選択進む

フランスでは自転車を利用している人が増えている(写真:REUTERS/Charles Platiau)

とても厳しい「監禁状態」の後、フランスではようやく封鎖解除が始まりましたが、このプロセスはフランスのほかの地域より、パリでより長い時間をかけて続くことになります。こうした中、日々の生活習慣の中に、新しい生活様式が見られるようになってきました。

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例えば、公共交通機関や入店時のマスク着用が義務付けられています。多くの場所ではアルコールによる手指消毒が求められ、ソーシャルディスタンシングを保たなければならないので、フランス人のあいさつには欠かせないキスや握手、ハグもできなくなりました。仕事もリモートワークが主流になっています。人々は自由が戻りつつあることを喜んでいると同時に、日常生活の中に今もウイルスが潜んでいることに警戒しています。

家族と仲を深める人、別れを決める人

フランス人の習慣はコロナ前から大きく変わりました。それと同時に、自分やさまざまなものに対する意識や価値観、考え方、そして行動も変わりつつあります。

大きく変わったことの1つは時間との関わり方。私も拙著『好きなことだけで生きる』などでしばしば言及していますが、自分の時間をどう過ごすかは人生においてとても重要なことです。生まれてから死ぬまでの限られた時間を、私たちは地球上で過ごします。それぞれの人生は、その限られた時間をいかに過ごすかにかかっているのです。

多くの人は、このステイホームという強制的な状況の中、家族と過ごす時間が増えました。その中で、多くの経験を共有し、コミュニケーションを深めることで、パートナーや子ども、親との絆を深めた人も少なくありません。

一方で、このとても奇妙な期間に、自分たちの関係はもう終わったと感じ、離婚、あるいは別居は避けられないと悟ったカップルもいます。これはフランスに限らず、世界中で起きているようです。「別れ」を決める背景には、それぞれが自分の欲求をより「鋭く」認識するようになったことがあると思います。今の自分にとって何が必要で、何が必要ではないか。誰と時間を過ごしたいか。時間があったからこそ考えられたわけです。

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