――マイナーメジャーというのは言い得て妙かもしれません。
いわゆる「皆さんの映画」といったところではないギリギリのバランスですよね。コロリドは画的にはすごく広いターゲットに刺さる画風なので、それを生かしたバランスのとり方も考えています。
ただそうは思いつつも、ひとりひとりの作家はそんな戦略を考えているわけではありませんので、計画通りになっているか分からない。企画当時はアニメファンが好きなアニメでありながらも、広い層に届くためのくさびを打っていけるような作品にしたいという意識で考えていました。
その後、脚本があがった後の打ち合わせの時に『君の名は。』の話をしたのは覚えていますね。企画がだいたい見えた頃に『君の名は。』のヒットがあって、岡田さんともすごいのがきたねという話をしたくらいでした。
だから直接影響を受けたわけではありません。ただ思いとしては、個人作家を前面に押し出すのではなく、「スタジオコロリド」をブランディングすることで、ポストジブリ的存在にできないかと思って画を描いていました。何本か作品を作っていく中でポストジブリを実現していこうと。それは戦略というものではなく、みんながそう思っていることだと思います。
次の作品は小学生もターゲットに入れていく
――例えば『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』が公開された時は、劇場に若い観客が多く来場しているなと感じたのですが、この作品もそういった若い層に訴求したいという思いはありましたか。
自分が手掛けている作品は人が大量に死ぬような作品がなぜか多く、そこはあまりメインターゲットにはしていません。しかし、スタジオコロリドは今おっしゃっていただいたティーンにも向けていますし、3本目の作品はもっと下の年齢層、小学生とかにも見せようというような、結構、意識的にターゲットを広げようとしています。
――アニメ業界の働き方に関して意識改革などはあるのでしょうか。
とにかく業界全体が変わっていかざるをえないなという意識は間違いなくあります。コロナ以前からあった、働き方改革も待ったなしという状況です。
ずっと続いてきた、フリーのアニメーター全体で大きい会社みたいな、アニメ村という状態は、良い部分もあったんですけど、その弊害もすごくありました。そこは絶対に変わってしまうだろうなと思います。
従来の作り方で進めた方が生産性は高いので、変わらないスタイルで作り続ける制作会社も多いと思います。デジタルにすれば生産性が高まるわけではありません。ワークフローにおいては、行程数が上がっていたりもします。ただデジタルだったら例えばリテイクがうまくいくとか、精度みたいなところは上がる。
アニメ業界も本数が多いと言われながら、製作本数はずっと増え続けてきました。そうした深夜アニメっぽい作り方に今までみんな乗っかっていったんですが、全部はなくならないとしても、今後は作ることができる人たちが限られてしまうでしょう。今のままのスタイルはいずれ崩壊するだろうなと思っています。
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