理由は簡単だ。これは中小企業支援、テナント支援、お店の支援ではなく、ビルオーナー支援、地主支援に他ならないからである。まともな地主、オーナーはこの休業期間、家賃を免除している。例えば最大手の一角である三井不動産は、「ららぽーと」などの家賃は減免するなどしている。利益は減り、それが一つの理由で株価が下がった。しかし、大手としては妥当な行動である。テナントあっての不動産ビジネスであるから、長年の重要な顧客は守る必要がある。
新しい平常になっても、オーナーとしては価値のあるテナントは大切にするはずである。資金繰り支援を金融機関にしてもらうのは必要だが、家賃については、オーナーが交渉に応じるはずだ。応じないのであれば、そのオーナーはだめなオーナーか、テナントがもともとうまくいっていないから価値のあるテナントではないということだ。あるいは家賃の値上げを長期間拒んで破格の家賃で居座っていたか。そうしたケースもあるだろう。
いずれにしても新陳代謝を進める意味でも、家賃補助はするべきでない。守るべきは、それで仕事を失った働き手の支援であり、彼らには失業保険などを手厚く給付すればよい。
「不安」をどうすればいいのか?
一方、マクロ的な需要刺激策も不必要だ。需要は、我慢していたのだから、これが噴出してくる。「ペントアップデマンド」と呼ばれているが、名前はともかく、自粛で我慢していた需要が出てくるので、需要はむしろ短期的にはあまるほど出てくる。
結局のところ、日本を振り回したのは、不安である。
不安が、存在しない危機を人類最大の危機に発展させ、必要のない、バラ撒きを実現させたのである。そして、この不安には根拠がない。だから、バラ撒きで一時的にほっとするが、すぐにまた不安になる。「1回きりの10万円では足りるはずがない!この先どうなるかわからない。毎月10万円は必要だ!」などと言われる始末である。10万円配って、支持率が下がってしまうのだから「ばら撒き政策」もまったく無意味になってしまった。
さらに、この不安は実体経済にも直接影響を与えている。不安が残り、不必要に移動や支出を怖がる場合、需要が戻らない。では、どうしたらよいか。
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