日本に今度こそ「本当に深刻な危機」が来る理由 コロナ危機で何が「デフォルト化」されたのか

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コロナショックに対して、「人類最大の危機」といった人がいたが、それは明らかな間違いである。人類にとっては、感染症の危機はもっとも恒常的な危機で、最大の、最頻の危機である。

それはともかく、「21世紀は感染症の世紀だ」と、多くの人が以前から指摘していた(マイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツ氏が言っていたということは、感染症の専門家の間ではコンセンサスだったということだ)。これは驚きでもなんでもない。感染症は繰り返しやってくる。実際、サーズ、マーズ、新型インフルエンザ、エボラと私が覚えているメジャーなものだけでも21世紀にすでに4つある。

また「前代未聞の経済対策」が繰り返されるのか

少なくとも、同じ程度の感染症の危機はすぐに必ずやってくる。そうするとどうなるか。

感染症対策は進んでいるから、少しはましな医療が提供されるだろう。だが、経済対策は同じことを繰り返すだろう。つまり、前代未聞の経済対策は、毎回発動されるということである。

アメリカは今回追加を含めれば総額600兆円を超えるといわれる対策を打った。日本も、5月27日に第2次補正予算が閣議決定され、「真水」の議論はあるものの、第1次補正とあわせれば総額は234兆円だ。歳出ベースでもリーマンショック時を上回る60兆円を超える財政支出がなされ、それのすべてが国債でまかなわれる。安倍晋三首相が言うように、日本においては、空前絶後であることは間違いがない(絶後かどうかはわからないが)。日本に「実は危機はなかった」にもかかわらず、である。

何度も言うが、感染症の危機としては今回よりも大きな危機は必ずやってくるだろう。そして、人々は補償を求める。言い方は悪いが、有り体に言えば、人々のため、社会のために自粛、休業を要請しても「金をくれなきゃ休業、自粛してやんない」、というのがデフォルト(標準的な設定)として今回確立してしまった。

次の感染症のとき、首相、官邸はどうするか。支持率の低下を防止するために、先回りして、その危機の大きさを確かめる前に、感染症が広まった瞬間に金をばら撒くことになるだろう。間違いなく、そうしているうちに財政は破綻する。だから、今回の危機はコロナ危機ではなく、経済危機でもなく、財政危機が最も深刻な日本社会へのリスクなのである。

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