では、本来はどのような経済対策を打つべきか。ここでは、あまり長くなってもいけないので、詳細は改めて議論することにして、要点だけ述べよう。
前提として、コロナ危機はとりあえず去った。残っているのは、不安だけである。安全ではなく安心のために大規模なばら撒きが行われた。需要が萎縮するとすれば、不安によるもの、および、観光や夜の飲食などを中心に、冷静に考えると不急であるだけでなく不要であると人々が気づいたものは、不安が解消されても(必ず人々は忘れる)、需要は回復しない。しかし、真に必要な、人々が熱望する、観光や夜の飲食は続くであろう。
アメリカでは中小企業だけでなく、大企業の倒産が相次いだ。高級百貨店のニーマン・マーカス、中堅商業施設のJ.C.ペニー、アパレル中堅のJ.クルー。そして、レンタカーのハーツ。シェールオイル、ガス関連企業の破綻も相次いだ。日本ではアパレルのレナウンがいまのところ大型倒産の代表格であろうか。
「家賃補償政策の本質」とは何か?
これらの倒産企業の共通点は何か。いずれも、コロナ危機の前から、経営が行き詰まっていたところである。構造変化や経営の失敗で回復の見込みがかなり薄かったところへ、コロナがとどめを刺した。もともと価値を失っていた企業、ビジネスモデルなので、破たん前の救済や買収は起きにくかったのである。中小企業を含むすべての企業も同じことが言える。もともと、あまり調子が良くなかったところから倒産に追い込まれていくのが大半である。
コロナ危機の最中は、資金繰り倒産を防ぐことが最大の課題であった。
いまや危機は去った。これで需要が出ない、売り上げが立たないとすると、それは構造的な問題であり、現金を給付して支えることは逆効果である。廃業または倒産する企業を支えることになる。
そのような企業、ビジネスモデルは存在価値がないのであるから、構造転換支援、あるいは転業支援をするべきである。そして、守るべきは、人間である。したがって、失業保険は充実させるが、休業補償に類することは、いまや打ち切るべきである。もっとも無駄なのは、いまさらの家賃補填である。しかも600万円までと多額である。この家賃補償の政策は行うべきではない。
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