日本に今度こそ「本当に深刻な危機」が来る理由 コロナ危機で何が「デフォルト化」されたのか

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実は私は、競馬は勝ち馬を決める能力検定というスポーツであり、強い種と牝馬を選んで残すためのもの、だと思っている。2着や3着の組み合わせを当てるのはゲームに過ぎず、競馬の王道からは外れる。だから、予想も1着だけ、馬券も単勝だけ、というのが一番の主張である。

だが、儲けるためには、これではだめなのだ。プロの予想家も、還元率が一番低い3連単で生計を立てているのには理由がある。前述の押さえ馬券だ。

組み合わせが複雑であればあるほど「かすってはずれ」、というときに人々は激しく後悔する。行動経済学の後悔理論、つまり「人間は後悔を最小限にするように行動する」というモデルに当てはまる。だから無駄に押さえ馬券を買う。そうすると、本命馬券が割安になるのである。無駄な押さえは点数から行くと大穴が多い。なので、本命が相対的に売り上げの割合が減少し、配当の妙味が出るのだ。

したがって、私も、ダービーは単勝でもなく、馬連1点でもなく、みんな押さえる馬単の裏も買わない、馬単1点勝負をするのだ。皆さん真似しないでください。オッズが下がるので。

山崎元氏はワーケア、吉崎達彦氏はサリオス本命

【山崎元氏の予想】競馬ファンは「次のダービー馬を見たい!」と思うだけで1年生きる理由を得る。無観客でもダービーがあるのは、ありがたい。

さて、競馬の着順は小さな理由で変化する。馬は「走るサイコロ」だ。合理性から見た競馬は100%を超えると思われる回収率の馬券に分散投資することが正しい。オッズが全馬同じなら、サリオスをマークし易い枠に入ったこともあり、コントレイルを買うのが無難だ。

しかし、オッズは同じではない。今回妙味があると筆者が思うのは、レース間隔を空けながらクリストフ・ルメール騎手が大切に乗っていて、しかも好枠を引いたワーケア(2枠3番)だ。ジワジワ伸びての好勝負を期待する。コントレイルとの馬券を、券種を分散して買うのが本線だ。ハーツクライ産駒同士のサリオスとも少々。残念ながら、政府からの10万円はまだ案内すら届いていないから、大勝負はしない。

【吉崎達彦氏の予想】5月24日のオークスでは4戦無敗のクラシック2冠牝馬デアリングタクトが誕生した。さすればダービーでも、コントレイルが無敗のまま5連勝で2冠を得る、というのがいかにもドラマとなる。

しかし、天邪鬼な筆者はもうひとひねりしてみたくなる。オークスでは18頭中8頭も出走したディープ産駒が、3着以内に1頭も入らなかった。ダービーでも5頭が出走するが、「府中の芝はディープの天下」になるとは限らない。

ディープインパクトが国内G1で唯一敗れたのは2005年の有馬記念。負けた相手はハーツクライであった。山崎氏も触れているように、サリオスはそのハーツ産駒。こっちだね、やっぱり。

皐月賞では半馬身差でコントレイルに届かなかったが、「敗戦は師なり」ともいう。敢えて黒星がひとつある方を狙いたい。コントレイルは今が旬だろう。だが、サリオスはこれからもっと強くなる馬。単勝で。

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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