もう新型コロナウイルスの議論はうんざりだが、世の中コロナで真っ暗なのに、なぜか株価は元気に上がっている。なので、今回はこの議論でもしようかと思ったのだが、4月16日木曜日の夜、安倍晋三首相は緊急事態宣言を全国に適用することを決定した。同時に、コロナショックで所得が大きく減った世帯に30万円を給付するという政策を撤回し、全国民に1人10万円を配る政策に変更すると発表した。今回はこちらの話をせざるを得ない。ということで結局、今回も残念ながらコロナだ。
「理解できない」一律10万円の政策
なぜ、いまさら緊急事態宣言を全国に広げたのか。確認感染者ゼロの岩手県や1人の鳥取県を指定する必要があるのか。一方、感染拡大が続き、小池百合子知事がロックダウンを煽って政府に緊急事態宣言を出させた東京でも、夜間の外出禁止令すら出ない。飲酒も夜7時までならできる。
埼玉にいたっては、緊急事態宣言が出ているにもかかわらず午後7時以降飲酒が可能で、東京から車で(!)飲酒のために訪れる人もいる(17日からは埼玉県でも酒の提供を午後7時までとすることを要請)。茨城県のパチンコ店にも、他県から人が流れ込む(18日からは茨城県でも休業を要請)。
一方、全国民に10万円が配られることになった。所得制限なしである。これを総理に迫った公明党は絶賛され、一律10万円を合唱していたネット民たちは凱歌をあげる。「コロナで仕事が減り、所得が激減した世帯に30万円配る」という法案は突然なくなった。コロナショックで所得を失って生活に困窮した低所得者を救うための政策が、年金生活者で1円も所得が変わっていない人も、子供も、1億円プレーヤーも、そして私にも私の妻にも10万円が配られる。通常の消費がしにくい環境での消費刺激策が行われようとしている。
そしてこれら「意味不明の政策」に対して、国民は大絶賛。渋々政策転換をした政府に対しては「遅すぎる」と非難殺到。国民の望みどおりやっておきながら、非難されるなら、やはり最初からそうやっておけばよかった。安倍総理はそう思っているに違いない。
不思議なことがあるものである。理解できない。しかし、私にはできなくとも、つまらない行動経済学という学問では、少し分析できそうだ。
まずは、まともな部分から行こう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら