日本では、東京や大阪など大都市で依然、新型コロナウイルス感染爆発の瀬戸際状態が続いている。同じ大都市のニューヨークが深刻な被害を受けている中、海外からは「次は東京」と懸念する声も少なくない。
実際、早くから対策に乗り出したサンフランシスコに住む筆者から見ると、国と地方自治体の対策にすれ違いがあるなど、日本の対策には不安を感じるところがとても多い。今の日本に欠けている視点は何なのか。カリフォルニア州やサンフランシスコ地域の対策から学べることもあるはずだ。
1通のメールで生活が激変した
それは3月6日金曜日の夜のことだった。カリフォルニア州オークランドのパラマウントシアターで偉大なるブルースマン、バディー・ガイのサウンドに乗って楽しく体を揺らせていたところ、スタンフォード大学学長から1通のメールが入り、私の世界は激変した。
学長はスタンフォード教員に向けて、月曜以降教室で行われるすべての対面授業は中止となり、授業の最後の2週間はオンラインでのみ実施可能と通達した。学生との個別の対面ミーティングも禁止された。
スタンフォード大学によるこの決断は後にアメリカ中の大学が追随することになったが、当初は極端に思えた。シリコンバレーの中心部にある同大学の本拠地、サンタクララ郡はアメリカで最初にウイルス症例が確認された場所の一つで、当初は中国を訪れた人々に感染が見られた。しかし、当時症例数はまだ2ケタで、警告は出されていたものの、生活はほぼ通常通り運んでいた。
が、その後、サンフランシスコエリアの生活は劇的に変化。9日の時点で、サンタクララ郡はすべての大規模イベントを禁止した。
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