つねに科学者たちとやりあっているドナルド・トランプ大統領と異なり、カリフォルニア州の役人たちは、保健専門家のアドバイスに厳密に従っている。制限を緩めろという経済的、社会的、政治的プレッシャーに直面するのは彼らも同じだが、それでも科学者の言うことに従う。1980年代のHIV・エイズ感染症との戦いの経験により、このような病気の威力や素早く行動する必要性の認識・理解が醸成されているからだ。
「医療界との関係は盤石だ」とクリーガー記者は言う。「彼らは医療界をこの危機における友軍として捉えている。科学が伝えていることを、政策の起点にしているのだ」。
独自に対策を打ってきたカリフォルニア
教訓3:地方自治体のリーダーに主導させよ
トランプ大統領は連邦政府の対応の遅さへの責任は否定する一方で、パンデミックをコントロールするのは自分だと言い張ることをやめない。大統領の最初の行動は1月末に中国からの入国を制限することだったが、感染はすでにアメリカ国内に広まっていた。
さらに深刻なこととして、ベイエリアの当局が集会を禁止したのと同じ瞬間に、トランプはアメリカ国民に対して3月7日には「まったく心配していない」、その3日後には「(ウイルスは)どこかへ行くだろう。平静を保て。そのうちなくなる」と、異なるメッセージを発していた。
大統領と政権が約束した検査キットや医療従事者の防護服等の必須医療用品、重症患者のための人工呼吸器を確保する話は、結局ほとんど中身が空っぽだったことが後に明らかになった。
この時点で下された主要な決断は地方自治体のリーダーによるものだった。ロサンゼルスやサンフランシスコの市長から郡の責任者、ギャビン・ニューサム州知事に至るまで。カリフォルニア州はすべてのレベルで民主党傘下にあり、トランプの格好の攻撃目標となっている。
もっとも、ニューサム州知事はこの問題に関して大統領と直接対決することを注意深く避けてきた。州知事はカリフォルニアを「州国家」と呼び、その世界第5位の経済規模の力を利用して密かに物資を確保してきた。検査はいくらか遅れをとったものの、カリフォルニアはバイオテクノロジーの中心地であり、独自の検査や治療薬を開発してきた。
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