大量廃棄・日本人に「地球1個分の生活」は可能か 「エコロジカル・フットプリント」という指標

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福田「地球1個分の生活」に向けた社会課題といえば、ポストコロナの世界では「サステイナビリティ」にも人々の目が向くと思います。リバースプロジェクトの活動では、日本の制服を環境配慮型へと変えていく「全日本制服委員会」にも注目が集まりそうですね。

大企業と協働して「制服」を環境配慮型に

伊勢谷エシカルな素材や循環システムを企業の制服に取り入れていくこのプロジェクトは、ヤマト運輸さん、伊藤忠エネクスさん、ニッポンレンタカーさんなど多くの企業にご賛同いただいています。

福田:これはすごくいいアイデアですよね。

伊勢谷:企業の制服(ユニホーム)は、職種によっては必要なものです。企業によっては2万着、3万着と大量に必要です。

福田:そうですね。職種によっては必要だし重要ですね。

伊勢谷:絶対的なものを変えていくので、少しコストが上がったとしても「環境意識の高いもの」に変える意義もある。大手企業と協働することで何万着もの服を「環境に適したもの」に変えていけています

福田:ただ、一般の消費者にはアプローチできないと、なかなか社会全体には浸透しませんよね。

伊勢谷:でも、福田さんのご著書2030年アパレルの未来 日本企業が半分になる日にもあったように、デジタルファッションの仕組みで、1人ひとりのサイズデータを入力して、ぴったりの型紙で生地を切って縫製すればオーダーメイドの服ができるといった、技術革新が生まれています。

福田:そういった「マスカスタイマイゼーションのシステム」と「サステイナブル」って、相性がいいと思うんです。

伊勢谷:サステイナブルを意識しない層にもサステイナブルが届くような仕組みやアプローチが実現しつつあるのはひとつの希望ですね。

福田:そうですね。そうやって「地球環境に与えている負荷」を日々認識することが、「地球1個分の生活」に向けた第一歩だと思います。

伊勢谷1人ひとりの選択が、ちりも積もれば大きな社会の流れの変化になる。それができるような仕組みづくりをしていきたいですね。

福田:そして、近未来に「地球1個分の生活って、こういうものですよ」と言えるようなものをつくりたいですね。

福田 稔 KEARNEYシニアパートナー

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ふくだ みのる / Minoru Fukuda

慶應義塾大学卒業、IESEビジネススクール経営学修士(MBA)修了。電通国際情報サービス、欧州系戦略コンサルを経て、A.T. カーニー入社。主に、アパレル・繊維、ラグジュアリー、化粧品、小売、飲料、ネットサービスなどのライフスタイル領域を中心に、戦略策定・ブランドマネジメント・グリーントランスフォーメーション・DX等のコンサルティングに従事。プライベートエクイティやスタートアップへの支援経験も豊富。経済産業省の産業構造審議会 繊維産業小委員会委員、繊維製品における資源循環システム検討会委員、ファッション未来研究会副座長。著書に『2030年アパレルの未来』『2040年アパレルの未来』(共に東洋経済新報社)がある。

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伊勢谷 友介 リバースプロジェクト代表・俳優・監督

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いせや ゆうすけ / Yusuke Iseya

1976年、東京都生まれ。 東京藝術大学美術学部修士課程修了。1998年より俳優として活動。2002年、初監督作品『カクト』が公開。2009年、様々な才能を持ったアーティスト・プロデューサーが集結し、「人類が地球に生き残るために」をテーマに、新たな価値とモノの創造、社会貢献活動を行う株式会社リバースプロジェクトを設立。人間がこれまでもたらした環境や社会への影響を見つめなおし、 衣・食・住のみならず、教育・芸術・まちおこしといった分野において未来における生活を新たなビジネスを通して提案し、様々な企業とともに社会課題解決型のプロジェクトを実施。

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