大量廃棄・日本人に「地球1個分の生活」は可能か 「エコロジカル・フットプリント」という指標
前回記事「アディダス「海洋廃棄物から靴を作る」本気度」に引き続き、「アパレル業界のトップコンサルタント」として活躍する福田氏と、「環境負荷の少ないアパレル製品などをプロデュース」している伊勢谷氏の両氏が、お互いの活動を通して見えてくる「サステイナブルなアパレル事業」について語る。
日本は「7.1個分」ないと自給自足できない
福田:グローバルでは「エコロジカル・フットプリント」という指標があります。これは「人類が今の生活をし続けたら地球がどれぐらい必要か」という、人類が地球環境に与えている負荷を示すものです。現在、世界の人の暮らしを支えるために、地球は1.75個分必要になっていて、すでに許容量を超えています。
伊勢谷:それは、開発途上国も含めてですよね。当然だけど、先進国ほど環境に与える負荷が高く、開発途上国は総じて低い。
福田:また、世界中の人たちが「日本のような生活」をしようとすれば、地球は2.9個分必要になると言われています。
伊勢谷:全世界で地球2.9個分ですか。
福田:そうです。ちなみに、「アメリカのような生活」なら地球5個分必要です。そして、「日本の需要を国内だけで賄おう」としたら、日本は7.1個分ないと足りないそうです。
伊勢谷:そんなに? もっと少ないと思っていた。
福田:何年かに1回アップデートされているので、どんどん数値も変わっていると思います。
伊勢谷:そうなんですね。僕らは本来、「地球1個分の生活」を目指さなければいけない。しかし、アパレル関連では、このような環境の与えている負荷については、あまり知らない人が多いように思います。