大量廃棄・日本人に「地球1個分の生活」は可能か 「エコロジカル・フットプリント」という指標
伊勢谷:日本人の大量廃棄といえば「フードロス」も注目されていますが、日本のフードロスがいちばん多く出ているのはどこだか知っていますか。実は「家庭」なんです。
最大のフードロスは「家庭」から出ている
福田:環境省によれば、平成29年度のフードロスは、家庭が284万トン、事業者が328万トンです。ただし事業者は、外食(127万トン)、小売り(64万トン)、メーカー(121万トン)などさまざまな業種で構成されています。つまり、家庭は、事業者で最大の外食産業の2倍以上のフードロスを生んでいるのです。
伊勢谷:買っても「賞味期限が過ぎたらすぐ捨てる」のでしょう。賞味期限と消費期限は違うんですけどね。実は「もったいない」は、家庭では全然機能してないんです。
福田:日本人1人当たりのフードロスを計算すると、年間約50キログラムになります。日本の食料自給率は40%弱ですから、食料の多くを海外から輸入して調理・加工し、皆で大量に捨てているのが現実です。そもそもつくりすぎですね。
伊勢谷:アパレルと一緒で商品数が多すぎる。
福田:絶対に廃棄が出てしまいますよね。みんな高齢化の中で食べる量は減っていくのに。いまは選択肢が異常なぐらいあります。
伊勢谷:がっちりあるほうが売れたんじゃないですか。ないところより、あるほうが売れたという……。でも、一般的に考えたら「あるほう」に行きますよね。
福田:消費者はそれに慣れてしまって。とにかくメニューが多くて、つねにつくりたてのものがあるという……。海外に行くと「日本のコンビニはすごいよね」みたいな感じがありますが、「後ろにどれだけの無駄があるか」というのは理解してない。
伊勢谷:そこは教育とか、われわれが啓蒙していかないといけないなと思います。
福田:第一生命研究所の調査によれば、新型コロナウイルスによる生活意識の変化の中で、「フードロスを減らしたい」という項目が全体の第4位、9割弱の方に支持されたそうです。ポストコロナでは、消費者の中で「社会協調志向」という価値観が強まりますので、今後フードロスのような社会課題にはより注目が集まると思います。