日本全国を見渡すと、ほんの一握りの子どもたちにはオンライン教育によって、ステイホームしながら安心と学びが享受されている状況の中で、それ以外のほとんどの子どもたちには教育を得られる機会が限定されている、というのが現状なのだ。こうして深まってゆく格差は、ゆくゆくの分断、そして衝突の芽となり、環境に恵まれた層にとっても大きな負担を抱えることになりかねない。
今この瞬間「うちは大丈夫」に見えても、実は「大丈夫」なんて言える状態ではないと思うのだ。
公立にも、オンライン教育を熱望する教師がいる
コロナ禍の中、多くの公立では、課題を郵送したり、保護者が学校に取りに行ったりするといったシステムや、電話や往復はがきでの体調確認など、アナログな「報・連・相」が続いている。声を大にして言わせてほしいのだが、そのような中においても、オンライン教育に取り組もうとされている公立の先生方は、たくさんいらっしゃる。
しかし、現実はこうだ。
「うちの学校で業務メールアドレスを持つのは管理職だけなんです。学校から貸与されているパソコンも検索エンジンが使えなかったり、ソフトウェアのインストールができないようになっていたり……」
「オンライン授業を進めようとしていたのですが、教育委員会にダメ出しされました」
これまでご縁のあった先生方から、枚挙にいとまのない悲痛な叫びがメールで送られてくる。一教師が、いくら意欲的に時間と労力をかけようとも、学校内外のさまざまな要因がその前進を阻むのだ。
公立に通う児童・生徒の保護者たちも手をこまぬいているわけではない。
ITに強い保護者が、自主的に周りのママ友・パパ友に声をかけ、オンラインホームルームを実施している、という事例は多い。私自身もそうした活動を進めているのだが、京都で署名活動を始めた保護者や、千葉県八千代市で『オンラインホームルームを実現する会』を立ち上げた保護者ともつながった。草の根の動きは全国で起きているのだろう。
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