ただ、保護者が主体になっての実施では、そこから漏れてしまう児童生徒の捕捉に限界がある。また、こうした活動を個人の努力にだけ依拠し続けているのは、新たな分断を招きかねない、とも感じた。
“皆”で、つまり“クラス全員”でつながるためには、やはり学校が主体となり取り組むのが良い。そしてそのためには自治体・教育委員会からトップダウンで学校に指示が下りてくると、動きが速いのだ。
オンライン教育が進みつつある自治体もある。
例えば広島県の平川理恵教育長は「PC・スマホなど端末も持っていないからやらない、というのはダメです! 三種の神器『アカウント・端末・通信環境』さえそろえばできるのだから、進めましょう」と指揮を執る。
熊本市でも、震災を教訓に、全ての小・中学校(134校)で、端末のない家庭にはiPadを配る形でオンライン授業を始めている。
オンライン教育に意欲的な先生(たとえ理想の実現はかなわずとも)、自分たちにできることに奔走する保護者、実際にやりはじめた自治体……。公立の学校にもこうした動きは出ている。
日本は教員のICT教授スキルは77カ国中最下位
私には危機感がある。下記はコロナ禍に際してのOECDの緊急調査だが、日本の教育におけるICT機器の普及率は調査対象77カ国中、66位、教員のICT教授スキルに至っては77カ国中、最下位という結果である。
さらに世界銀行が、各国のオンライン学習の導入について集計途中のレポートを発信しているのを読むと、世界との差に愕然とする。(『The World Bank How countries are using edtech (including online learning, radio, television, texting) to support access to remote learning during the COVID-19 pandemic』)
このレポートには、いかに各国が子どもたちの学びを継続するために、国をあげてハードや通信手段の確保、電子教材の整備を行っているかが分かる。中国の小中学生約2億人は2月9日からオンライン授業を受けている。予算の限定されている途上国では、従来から導入してきた遠隔地教育が奏功している例もある。ジャマイカ、メキシコ、韓国などが教員の研修にも注力している様子も顕著である。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら