論文審査制度のマーケットデザイン求む!
学者業界の根幹とも言える論文審査制度にしては、ずいぶん危うい仕組みを採用しているものだ。時々、問題が起こるとはいえ、この仕組みが曲がりなりにも機能しているのは奇跡だという気さえしてきた。
それにしても、どうにかして研究評価の制度をもうちょっとうまく作ることはできないのだろうか……。僕の研究分野、マーケットデザイン(経済学の知見を応用して、実社会の仕組みのデザインに役立てる分野)だし!
別にいいアイデアを僕が持っているわけではないのだが、ここからは、ほかの分野で用いられている仕組みを、知っている範囲で紹介してみようと思う。
※聞きかじりで書いているので、あやしいところがあるかもしれません。詳しい方、ご指摘や実際のところのご教示をいただけたら幸いです。
オバマ大統領も“編集長”だった
今回説明したような専門誌制度は、経済学だけではなくほかの多くの学問分野でも使われているが、アメリカの場合、法学は例外で、ジャーナルを編集しているのはロースクールの学生たちだ。
たとえばバラク・オバマ大統領はハーバード・ロースクールの学生時代に、ハーバード付属の法律誌の編集長をしていた。編集部、特に編集長に選ばれるのは大変な名誉だそうで、選ばれた学生は相当に頑張るという話を聞く。ただ、法律のことを必ずしもよく知ってはいない学生が編集をするので、学問的に価値のある論文を選ぶことに完全に成功してはいないという批判は強いらしい。
また、『Nature』などのいくつかのジャーナルもちょっと特殊で、学者ではなくて出版社の編集部が運営しているらしい(分野が違うためよくは知らないのだけれど)。科学知識を持っているが学者ではない編集のプロがジャーナルを担うので、タコツボ的な研究ではなく、いわゆる「インパクトの強い」万人に面白い論文を拾い上げることができると評価する人もいるそうだ。一方でインパクトの強さを求めるあまり、いい加減な研究が載ってしまうと批判する人もいると聞いたことがある。
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