IHIが実用化を狙う「藻類ジェット燃料」 商業化への大きな期待と高いハードル

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藻から取り出した油(左)と、それを精製したもの

湖などに生息する“藻”から石油に代わる燃料を――。重機メーカー大手のIHIがバイオベンチャーとタッグを組み、藻類バイオ燃料の商業化を目指している。昨年には、屋外での大量培養試験に成功した。もう一段の品種改良や設備の自動化などでコストを大幅に下げ、2020年に商業化へ漕ぎつけるのが目標だ。

藻類バイオ燃料の技術研究を進めるのは、合同会社のIHI NeoG Algae(アイエイチアイ・ネオジー・アルジ)。IHIとバイオベンチャーのジーン・アンド・ジーンテクノロジー(G&GT)、ネオ・モルガン研究所の3社が2011年夏に共同で設立した。

このプロジェクトでは、G&GTが開発した「榎本藻」を原料のベースとして、ネオ・モルガン研究所がより商業生産に適した品種へと改良。IHIは屋外培養などに必要なプラント設備の設計・製作に加え、研究開発の資金スポンサーの役割も担っている。

IHI陣営の武器は“増殖スピード”

石油代替のバイオ燃料としてはトウモロコシ、サトウキビなどの穀物類がすでに商業化されているが、穀物の燃料転用は食料価格の高騰や食料不足の問題を引き起こしかねない。そうした中、非穀物系の次世代バイオ燃料原料として期待されているのが、栽培面積当たりの油生産量が多い藻類だ。

この藻類バイオ燃料で先行するのは米国のバイオベンチャー。中でもカリフォルニアのサファイア・エナジーとソラザイムの2社は、収支的にはまだ費用先行ながら、いずれも量産段階に移りつつある。日本ではIHI NeoGのほか、石油元売り最大手のJX日鉱日石エネルギー、自動車部品のデンソーなども商業化を目指している。

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