辰己氏が考案したフレキシブルタワーバーは、ただ補剛をするだけではなく「モーメントを取らない補剛」のアイデアとして、通常はリジット結合されるタワーバーの真ん中をピロボールで締結させた。
通常のタワーバーの約2~2.5倍の値段ながら、「サスペンションを変えずに走りが変わる」、「運転が楽になる」という高い評価も相まって、累計10万本を記録。アフターパーツとしては大ヒット商品となった。
STIがチューニングを手がけるコンプリートモデルには必至アイテムとなっている。
――フレキシブルタワーバーで得た辰己理論は、最新のスバル車にも入っているのでしょうか?
辰己:現行「インプレッサ」から採用されている「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」がそうです。大きく変えることができるチャンスに「いいクルマにするには車体はどうあるべきか」と、私が富士重工時代に一緒にやってきたメンバーが具体化させました。
新型レヴォーグは、それをさらに磨き上げて「SGP+α」といった車体に仕上がっています。量産車の車体は、開発初期の段階である程度決まってしまいますので、開発チーム全体が「いい走りとは何か」をしっかり理解している、ということでしょう。
辛口評価の辰己氏は新型レヴォーグをどう見る?
新型レヴォーグは、2020年後半に発売が予定されているが、辰己氏はすでに試乗済みで、そのときの印象をこう語る。
「実は乗るまでは『もしダメだったらどうコメントすべきか』と悩みましたが、乗って安心しました。今までのスバル車とは質が違っていて、特にドライバーとの一体感は別次元と言っていいと思います。これから発売までの時間の磨き上げ方次第では、欧州車を超える走りが実現できると思います」
辰己氏は、たとえそれがニューモデルの晴れの舞台であっても、「スバルの実力はまだまだ……」、「もっとレベルアップが必要だ」と包み隠さず話す人物だ。そんな辰己氏がここまで高い評価をした自社モデルは、過去になかった。
新型レヴォーグは、かつて初代レガシィがそうであったように、エンジン/シャシー、さらに安全支援システム「EyeSight」も含め、全方位で刷新される。つまり、初代レガシィから築き上げた「走り」が、31年目にしてより高いレベルへと引き上げられる……というわけだ。辰己氏の評価こそ、その確たる証拠ではないだろうか。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら