しかし創業して1年で、いきなりコロナ禍に見舞われた。だが影響はミニマムだという。
「自分が、通勤・定時就業がストレスだったので、全員自宅作業、自由な時間に作業してもらってOKにしています。こうしたフレキシブルさは、非常時にとても役に立ちました。やり取りはすべてオンラインであるおかげで、自粛になってもとくに業務に変化はないんです。ITは障害をフォローする技術なので、ツールを駆使するスタッフは多いですよ」
年を取ったから仕事がなくなるのではなく、技術や社会の変化についていけなくなるから仕事がなくなるのだと、和久井さんは思う。
「基本的なパソコンの知識や、ツールを使用できないとブラインドライターズでは仕事ができません。これから先も、どんな環境になっても柔軟に対応し、新しいことにチャレンジしていく会社でいたいと思っています」
和久井さんの人生を伺っていると、まるでジェットコースターのようだと思った。
目まぐるしく状況が変わっていくけれど、一つひとつの物事にはどっぷりと深くハマっている。楽しそうだけど、大変そうでもある。
「基本的に誘われたことは断らない」
「私は基本的に誘われたことは断らないんですよ。
『これやってみない?』
『これいいんだよ!!』
とか言われたら
『んじゃあ、やってみるか!!』
ってまず動いちゃいますね。だから失敗はよくします。仕事の失敗話をネタに記事を書いていますけど、笑える話しか書いていません。出版社を立て続けに首になったときなどは結構引きずりました。
そんな失敗の連続の中で、たまたま芽が出たものが、少女マンガ研究だったり、ブラインドライターだったんですね」
「ちなみに今は何を取材しているのですか?」と伺うと
「白物家電が全部壊れたので、賃貸物件を引き払いました。今は100人以上が一緒に暮らすシェアハウスに住んでいます」
と衝撃の答えが返ってきた。
社員寮をリノベーションして、シェアハウスにしている物件に、取材を兼ねて生活しているという。
「それから、戦争を体験された方にお話を聞くという取材をコツコツ続けてきたのですが、それが今年の夏に出版されることになりました。とても優秀な編集さんがついてくれ、しかもその本のために出版社まで立ち上げてくれたんです」
戦争の話を聞く対象は、主にツテを頼ったということだが、結果的にそうそうたる顔ぶれになったという。
「同時に、選択的夫婦別姓裁判を追いかけていて。取材を進めるうちに、さまざまな方と知り合い、法改正に向けて一冊の本にまとめようと思っています。またクラウドファンディングで資金を集めて、視覚障害に関する本も出したいですね!!」
和久井さんはとても生き生きと話した。
ずっと攻めのスタイルで人生を駆け抜ける姿に、心から感服した。
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