49歳、「文字起こし」に鉱脈得た彼女の快活人生 事務、編集、ライター、留学…流転の末に掴んだ

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フリーランスとして、検索サイト内にコラムや記事を書き始めた。

現在では、ライターがウェブで記事を書くことは当たり前になったが、インターネット黎明期にはまだ誰も書いていなかった。

「おすすめサイトを紹介したり、インタビュー記事を書きました。そうしたら取材先で

『ライターやってるんだ』

と言われ、他の媒体からも仕事が来るようになりました。単価は結構よかったですね。ついでに記事につけるイラストも頼まれて、別途の収入になりました」

フリーランスでの仕事は、OL時代よりもずっと稼ぐことができた。

「こんなに楽しく、好きなことをやってお金を稼げるんだ!!」

と驚いた。1人暮らしも

「自分のこと、全部自分で決めていいって、なんて楽しいんだ!!」

と感じる、とても楽しい日々だった。

「そうこうしてるうちに、やっぱり大学に行きたいと思うようになってきました。短大のとき、周りが早稲田生ばっかりだったので、強烈に学歴コンプレックスがあったんですね。その後専門学校に行きましたけど、学歴コンプレックスは全然なくなりませんでした」

一生「私、短大卒だから……」と、引け目を感じ続けるのは嫌だった。そう思っていると、早稲田大学で社会人経験者に限った募集を発見した。

「入試内容は、英語と論文だけでした。英語は専門学校に通っていたからいけるし、論文はライターの実績でいける!! と思いました。でもその年は、舐めていたら落ちてしまった(笑)。翌年もう一度がんばって、合格しました。猛勉強して試験に望んだので満点に近かったと思います」

28歳で早稲田大学生に

そして和久井さんは28歳で、早稲田大学生になった。ひさしぶりの大学生活を満喫していた。ある日、ふとゲームが作りたくなった。

「中華料理の点心を育てていくゲームを思いついたんです。セイロに入ったライチを世話すると、ライチからシュウマイが出てくる。シュウマイを育てるとグリーンピースが落ちてワンタンに……みたいな育成ゲームです」

ただゲームを作るといっても、和久井さんにプログラムのスキルはなかった。

どうしていいかわからないから、紙に鉛筆でイラストを書き、いろんな会社に持ち込んでみた。

「ソニーコミニュケーションネットワークがアイデアを拾ってくれました。そして制作されてiモード対応のゲーム『養殖中華屋さん』が配信されました」

和久井さんは配信後も、企画・シナリオとイラストを担当した。

「かなり稼がせてもらいました。そこで稼いだお金は全部テニスにつぎ込みました」

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