フリーランスとして、検索サイト内にコラムや記事を書き始めた。
現在では、ライターがウェブで記事を書くことは当たり前になったが、インターネット黎明期にはまだ誰も書いていなかった。
「おすすめサイトを紹介したり、インタビュー記事を書きました。そうしたら取材先で
『ライターやってるんだ』
と言われ、他の媒体からも仕事が来るようになりました。単価は結構よかったですね。ついでに記事につけるイラストも頼まれて、別途の収入になりました」
フリーランスでの仕事は、OL時代よりもずっと稼ぐことができた。
「こんなに楽しく、好きなことをやってお金を稼げるんだ!!」
と驚いた。1人暮らしも
「自分のこと、全部自分で決めていいって、なんて楽しいんだ!!」
と感じる、とても楽しい日々だった。
「そうこうしてるうちに、やっぱり大学に行きたいと思うようになってきました。短大のとき、周りが早稲田生ばっかりだったので、強烈に学歴コンプレックスがあったんですね。その後専門学校に行きましたけど、学歴コンプレックスは全然なくなりませんでした」
一生「私、短大卒だから……」と、引け目を感じ続けるのは嫌だった。そう思っていると、早稲田大学で社会人経験者に限った募集を発見した。
「入試内容は、英語と論文だけでした。英語は専門学校に通っていたからいけるし、論文はライターの実績でいける!! と思いました。でもその年は、舐めていたら落ちてしまった(笑)。翌年もう一度がんばって、合格しました。猛勉強して試験に望んだので満点に近かったと思います」
28歳で早稲田大学生に
そして和久井さんは28歳で、早稲田大学生になった。ひさしぶりの大学生活を満喫していた。ある日、ふとゲームが作りたくなった。
「中華料理の点心を育てていくゲームを思いついたんです。セイロに入ったライチを世話すると、ライチからシュウマイが出てくる。シュウマイを育てるとグリーンピースが落ちてワンタンに……みたいな育成ゲームです」
ただゲームを作るといっても、和久井さんにプログラムのスキルはなかった。
どうしていいかわからないから、紙に鉛筆でイラストを書き、いろんな会社に持ち込んでみた。
「ソニーコミニュケーションネットワークがアイデアを拾ってくれました。そして制作されてiモード対応のゲーム『養殖中華屋さん』が配信されました」
和久井さんは配信後も、企画・シナリオとイラストを担当した。
「かなり稼がせてもらいました。そこで稼いだお金は全部テニスにつぎ込みました」
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