49歳、「文字起こし」に鉱脈得た彼女の快活人生 事務、編集、ライター、留学…流転の末に掴んだ

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そうしてテニス漬けの日々を過ごした後、帰国した。日本に帰ってくると、フリーランスとしての仕事はすべてなくなっていた。

「そりゃそうだわな、と思いました。それまで日記のようなことしか書いていなかったから、ライターとしてのスキルもなかったし、困ったなあってなりました」

テニスコーチのアルバイトを始めたものの、自分が習っているときコーチに対して厳しい目を向けていたので、その目が自分に向くと思うと怖かった。

「ふと早稲田の部活テニス、インカレの試合を見に行ったら、これがすごい面白かったんですね。それまでは自分がテニスをするばっかりで、人のテニスを見てなかったんです。そこからテニスの試合の観戦をするようになりました」

全テニス雑誌を調べ、大学テニスを取り上げていない雑誌の編集部を訪れ、

「これからは大学テニスの時代ですよ!!」

と売り込んだ。

また少女マンガ研究では、少女マンガの傑作52作品を紹介しつつ、女性の本音を解説する書籍『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』を2010年に上梓した。

本が出るとテレビ、ラジオの依頼が来て、少女マンガ研究家として解説した。

「そんなとき、英語のテキストを作る大手出版社が編集者を募集しているのを見つけました。英語は苦手ではないので、業務委託として編集に携わりました。ただ私は細かい作業がザルなので、誤字などのミスが続いて2年ほどでクビになりました」

仕事がなくなってしまったため人脈を得ようと思い、ライターの集まる会合に出席した。そこに大手出版社から来ている男性がいた。

名刺交換して、とにかく毎週せっせと企画を送り続けた。

そんな頃、ふと美術館のカタログを見ると、禿山に巨大な神像の首がゴロゴロ転がる神秘的な遺跡が目に止まった。反射的に

「これは、見たい!!」

と思った。トルコの東部にある、ネムルト山だった。

思い切って訪れたトルコのネムルト山(写真:本人提供)

「仕事もクビになったところだったので、思い切って訪れることにしました。ネムルト山はかなりの田舎にあります。まずはトルコ語を習おうと思い、イスタンブールに行って1カ月間トルコ語を習いました。そしてそれから、ネムルト山などを巡って帰ってきました。のべ2カ月の旅でした」

週刊誌編集部でライターとして活動

旅から戻ってからは、大手出版社の男性から週刊誌編集部を紹介してもらい、ライターとして活動を始めた。

「しばらく仕事を続けていると、編集者に

『フリーランスのライターをするなら、編集者をやったほうがいいよ~』

って勧められました。『はい~!!』ってその編集部に入ったんですけど、そこも結局3カ月でクビになりました。

そこから急に無収入になりました。家賃が払えないプレッシャーで吐き気がするんですよ。

知り合いみんなにお願いして仕事を恵んでもらいました。そこから2年くらいはずっと貧乏でしたね」

ウェブサイトに企画を出して、記事を書き、なんとか食いつなぐ日々だった。

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