接触機会8割削減策がズレていると考えるワケ なぜ通勤客の削減を重視しすぎてしまうのか

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ここで注意しなければならない一番のポイントは、日本には「グループAの人々が一般的なイメージで語られるよりも意外と多い」ことである。グループAを無視した議論が多く、「こういう人はいない」か「ごみ」だと考えられ、「欧米人はグループB」、「日本人はグループC」というように雑に考えられている。

私の個人的な観察では、グループBが非常に少なく、前述のようにグループAのほうが多いぐらいだろうか。少なくとも、グループAとグループBは同じぐらいではないかと想定している。一方、グループCは欧米にはあまりいないが、日本では過半数、多数派だという一般的な認識と同様に考えている。

「自粛要請」段階では「多数派」は自粛しない

さて、このような想定をしたときに、これまで起きたことはどのように整理されるであろうか。

まず「自粛要請がなされた。緊急事態宣言はまだだ」のとき(緊急事態宣言が7都道府県に出たのは4月7日だった)。このときはどうなるか。

グループAのうちのリスク回避的な人々はもちろん自粛する。リスクに無関心な人々は、もちろん自粛などしない。好きなように行動する。

一方、グループBの人は、その人の得た情報および判断で変わってくる。ここも半々と仮定しよう。半分は自粛し、残り半分の人々は自粛するほどではないと判断する(グループBは自分で得た情報で判断するが、その情報も判断も正しいとは限らない。自分で判断するというだけのことだ)。

さらに、グループCの人々はどちらに傾くか。「世の中半々」である。半々なら楽なほうに傾くのが人間だろう。よって、彼らは自粛しない。

となると、多数派は自粛しないことになる。日本人は危機意識が薄いと諸外国から散々非難された。しかし、現実として、死者も判明した感染者数も、あまりに欧米に比べて少なすぎる。「医療崩壊は、次は東京だ!」といわれてもピンと来ない。東京、大阪などの大都市圏以外ならなおさらである。

次ページ「諸外国から非難」という事実をどうとらえるか
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