管理人まで外出自粛?悩むマンション管理会社 ゴミ出しに清掃…住民の生活に直結

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管理会社が懸念するのは、今後感染が一層拡大し、特定のマンションでクラスターが発生することだ。

管理人は定年退職後のシニア層が中心で、万が一感染した場合のリスクが大きい。また、「管理人が(クラスターが発生したマンションへの)出勤を嫌がる場合、無理強いはできない」(マンション管理会社)ことから、ゴミ出しすら止めざるを得ない事態を懸念する。中堅マンション管理会社のライフポート西洋は、管理人が24時間常駐するマンションを除いて、住民自身がゴミ出しの対応を行うよう要請をしている。

休業中の委託費はどうなる

新型コロナウイルスの収束後も、管理会社の悩みは続く。休業中も管理組合は管理会社に対して管理委託費を支払っているため、その精算業務が待っているからだ。

国土交通省の「マンション標準管理委託契約書」の23条2項には、「本契約に定めのない事項又は本契約について疑義を生じた事項については、甲(管理組合)及び 乙(管理会社)は、誠意をもって協議するものとする」とある。契約書は新型コロナウイルスの影響を当然想定していないため、管理組合と管理会社との個別協議によって決まるとみられる。

マンション管理業協会は3日、会員各社に対して緊急時の対応について管理組合と協議するよう通知を発している。休業中に実施しなかったサービスの料金を算出し、管理組合に返金することが望ましいが、精算金額について落としどころを探るのは一筋縄ではいかない。

新型コロナウイルスの影響でリモートワークが広がる中、アナログ作業の多いマンション管理でも遠隔業務の推進は避けられなくなっている。他方で、マンション管理業協会が昨年に実施した「マンション管理トレンド調査2019」によれば、AIやIoTなどの先進技術の導⼊については管理会社の3割以上が「関心がない」と回答した。マンションやそこに住む住民は千差万別であり、「テクノロジーでの代替には限界がある」(大手マンション管理会社幹部)ためだ。

それでも、受付や案内業務の一部をAI管理人に担わせたり、共用部の清掃をロボットに行わせるといった取り組みを模索する管理会社もある。もともと管理人の人手不足にあえいでいたマンション管理業界。コロナを契機に、IT活用に伴う無人化や省力化が一層急務となっている。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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