マンション不正融資、「アルヒ関与」深まる疑念 年収200万円台の低所得者層もターゲットに
投資用マンションローンの審査書類が改ざんされていた問題で、住宅ローン融資会社「アルヒ」のフランチャイズ店(FC)が、マンション販売業者に対して源泉徴収票の改ざんなどを指示、あるいは審査書類が改ざんされている事実を知りながら、金融機関に取り次いだ疑いが強まっている。
問題となったのは、アルヒが提供する「アプラス投資用マンションローン」。融資審査は信販会社のアプラスが行うが、アルヒは融資の窓口となり書類の回収と送付、アプラスとの連絡の取り次ぎなどを行う。今回改ざんが発覚したのは、この商品を用いて融資された投資用マンションだ。
給与額245万円を545万円に改ざん
「源泉徴収票の給与支払額の数字が違う」。首都圏に住む20代女性は2017年9月、アプラス投資用マンションローンを用いて東京都内の中古マンションを購入した。女性が提出した源泉徴収票の給与額は245万円だったが、実際にアプラスに提出されたものには545万円と記載されていた。
契約手続き自体にも問題があった。女性が呼び出されたのは都内の喫茶店。「指示されるがままに住所や氏名を書いただけで、勤務先や勤続年数は書いていない。それなのに(アプラスに送付された契約書には)勤務先と勤続年数が記入され、しかも内容が間違っていた」と女性は話す。担当者は、女性が審査書類に記入し、源泉徴収票などを提出する一連の過程を見ていたという。
その担当者が所属していたのは、首都圏5カ所でアルヒのFC店を展開する会社。東洋経済はアルヒに事実関係の確認を求めたが、「現段階では(不正を行ったという)事実は確認されていない」という回答があった。東洋経済は名前が挙がった担当者にも直接コンタクトを取ったが、「アルヒの広報部を通してほしい」とコメントを避けた。
このFC店に対しては、マンション販売業者からも不正を指摘する声が上がっている。同じアプラス投資用マンションローンを用いて中古マンションを販売していた業者の元幹部は、「FC社員からの指示で、融資が下りるように賃料を水増ししたり、自己資金額や勤務先の改ざんをしたりした」と打ち明ける。この業者によれば、これまで改ざんされた書類を使って販売した物件は、70件ほどに上るという。
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