マンション不正融資、「アルヒ関与」深まる疑念 年収200万円台の低所得者層もターゲットに
「アプラス投資用マンションローン」はなぜ不正のターゲットとなったのか。前述の販売業者は、「融資審査がザルだった。まるでオートローン(自動車ローン)を組んでいるような感覚だった」と述懐する。
投資用不動産の融資審査にあたっては、通常、物件購入希望者は源泉徴収票や免許証のほか、保険証、課税証明書、場合によってはキャッシュカードの提出まで求められる。保険証は勤務先の照会、課税証明書は公的機関が発行した文書をもってその内容を確認するためだ。
「書類が少なすぎる」
ところが、アプラス投資用マンションローンにおいては、源泉徴収票と免許証しか求められなかった。融資審査を行ったアプラスは、「(物件購入希望者に)源泉徴収票1通と免許証のみを求めた時期はあった」と認める。同様に投資用マンションに対して融資を行う金融機関の担当者は「書類が少なすぎる」と驚く。改ざんが露呈するリスクが低かったことが、不正の温床となったと見られる。
審査基準の緩さは、提出書類の少なさ以外にも起因する。前出の販売業者は「相場の2倍の価格で物件を販売したこともあった」と話すが、そうした案件にも融資が実行されてしまっていた。実際、今回発覚したケースでは、神奈川県川崎市にある周辺相場で800万円強の中古マンションが、実際には1600万円で販売されていた。
物件価格を吊り上げるだけでなく、サブリース賃料も4万4100円から7万2100円へと水増しをして、利回りが4%程度になるようつじつまを合わせていた。東洋経済の取材によれば、このように物件価格および賃料を水増して融資を引き出した物件が、少なくとも36件存在することがわかった。
加えて、全物件の不動産登記簿を取得したところ、すべてにおいてアプラスによる融資が実行されていることを確認した。このうち、前記のFC店が窓口となった一部物件の融資経緯についてアルヒに照会を求めたが、同社は「事実関係を確認中」とコメントした。
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