マンション不正融資、「アルヒ関与」深まる疑念 年収200万円台の低所得者層もターゲットに

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不動産登記簿によれば、不正に融資を引き出したと見られる物件は、契約が2017~2018年に集中している。それが今になって不正が発覚したのは、昨年からサブリース契約が続々と打ち切られたためだ。

サブリース会社より送られてきた賃料減額の通知書(男性提供)

西日本在住の20代男性は、2017年9月に「アプラス投資用マンションローン」を用いて神奈川県川崎市内の中古マンションを周辺相場の約2倍で購入した。本来の賃料は3万7800円だったが、業者が提示した賃料は6万8200円。当初は想定どおりの賃料が振り込まれていたが、昨年5月にサブリース業者から「近隣相場との比較や経年劣化を考慮し、賃料を3万7800円に減額する」という通知書が送られてきた。

サブリース業務を担った業者によれば、「(マンション販売会社から)水増し後の賃料2年分が最初に振り込まれ、それを毎月物件オーナーに支払っていた。ただ途中から振込額が少なかったり、振り込みが滞ったりしたため、契約を打ち切った」と話す。業者がサブリースを担っていた物件では、最大で5万円以上も賃料が水増しされている物件も存在した。

集団訴訟に向けて準備中

相場より高い価格で物件を購入させ、改ざんされた資料で融資を引き出し、サブリース契約が突如打ち切られる。これは女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」と同じ構造だ。シェアハウスが数千万~1億円規模であるのに対し、今回は1000万~2000万円の中古マンションが商材となり、結果的に収入の高くない若年層もターゲットとなった。

複数の物件所有者から相談を受けているわたなべ法律会計事務所の加藤博太郎弁護士は、「集団訴訟に向けて準備を進めている」と話す。

アルヒによれば、同社が窓口となってアプラスが融資を実行した投資用マンションローンは2016年3月期は1639件だったのが、2017年3月期~2018年3月期はそれぞれ4000件を突破した。融資が激増した時期は、ちょうど女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」が急拡大を遂げた時期でもある。

「アプラス投資用マンションローン」については、アルヒ、アプラスともに「不正が起こりえないスキームだ」と説明する。では、なぜありもしない源泉徴収票が提出され、相場から乖離した物件価格に対して融資が実行されてしまったのか。不正がどこまで広がりを見せるかは、いまだ見通せない。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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