「愛国心」旺盛な人ほど他国のヘイトに走る理由 イエモン「JAM」が教えてくれる「愛国の罠」
日本語で書かれたこの本の読者の多くは、日本人だと思います。みなさまの多くは、2021年の東京オリンピック・パラリンピックを観戦するとき、日本人選手を応援されるのではないでしょうか?
アメリカの人たちも、特大の「USA」コールで、自国の選手を応援しますよね。自分と同じ国籍の選手が金メダルを獲得したら嬉しい──。一見、この普通の感情も、じつはバイアスなのです。
「内集団」をひいきするのが人間の性
アメリカの社会学者ウィリアム・グラハム・サムナーが提唱した「内集団」「外集団」という概念があります。
内集団とは、自分が所属し、所属意識のある集団や、近しいと感じられる集団を意味し、外集団は、他者と感じられる、内集団以外の集団を意味します。
人間は、外集団よりも内集団(またはその構成員)を過剰に評価したり、ひいきしたりしがちです。この現象を「内集団バイアス」と呼びます。基本的には「少し度が入った色メガネ」と思ってください。
このようなバイアスが存在する理由は、私たちの遠い祖先の生活にあると考えられています。
心理学には、人間の心のメカニズムは、生物学的な進化と足並みをそろえるように、環境の変化などに合わせて進化してきたと考える「進化心理学」という分野があります。
約25万〜30万年前に誕生したと見られるホモ・サピエンスの長い歴史において、文化が劇的に発展するようになったのは、ここ2000年くらいの話です。
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