「愛国心」旺盛な人ほど他国のヘイトに走る理由 イエモン「JAM」が教えてくれる「愛国の罠」

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そう思うだけなら、普通レベルの色メガネだと言えます。内集団のことは誇りに思ったり、ひいき目にみたりするのは仕方ないことです。問題は、外集団に対して不要な攻撃をしたりすることなのです。

自国を愛するのはいいことでしょうが、他国や外国人に対するヘイトは許されません。近年、他国に攻撃的な方が問題になることも増えてきましたが、そもそも日本を好きなことと、他国を好きになることは両立できるはずです。

このように、内集団バイアスは、内集団への愛情などが強まりすぎることで、外集団に対する意識が微妙なものになってしまう危険性を秘めています。

イエモンのヒット曲から得られる教訓

20年以上前の曲で恐縮ですが、ロックバンドの「イエモン」ことTHE YELLOW MONKEYの「JAM」というヒット曲をご存じでしょうか?

歌詞には、外国で飛行機が墜落したとき、ニュースキャスターが「乗客に日本人はいませんでした」と嬉しそうに言う光景が、非常に印象的に描かれています。

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乗客に日本人がいたか気になるのは、日本人なら当たり前の感覚かもしれません。ただ、飛行機事故が起きた時点で、とてつもない悲劇が起きているわけです。「JAM」の歌詞は、日本人が犠牲にならなかったことを喜ぶあまり、犠牲者に対する思いが薄れてしまってはいけないと気づかせてくれます。

内集団バイアスは、多くの人が自分の家族や自国を大切に思うように、普通にあるものです。無理になくそうとするのではなく「JAM」の歌詞のように、外からの視点を自分の中でたくさん持てるように意識することが大切です。

どれだけ日本が大好きでも、ほかの国に敵意を持つ理由にはなりません。内集団を大切に思い、評価が高くなるのはよいことですが、同じような視線を外集団にも向けられるように意識できるといいでしょう。

堀田 秀吾 明治大学教授

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ほった しゅうご / Syugo Hotta

言語学博士。熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了。言葉とコミュニケーションをテーマに、言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな分野を融合した研究を展開。熱血指導と画期的な授業スタイルが支持され、「明治一受けたい授業」にも選出される。研究の一方で「学びとエンターテインメントの融合」をライフワークとし、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書等を多数執筆、テレビ番組にも出演する等、多岐にわたる活動を展開している。

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