海外赴任1年目、その本当のところとは? はじめての「出稼ぎ」生活! 使える知識を短期間で習得できた理由

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3.交渉力・調整力を、「1年目」にして得る

インドでは、ほとんどすべてが交渉で決まる。もちろん業務上も、厳しい交渉が発生する。しかし、実際に大変なのは、クライアントとの交渉ではない。一緒にプロジェクトを進めるインド人とのやり取りは、たいへんに骨が折れる。

そもそも、アメとムチを極端に使いこなさないとインド人は動いてくれないのだ。「あなたの力が必要だよ、ブラザー!」と手を握って、彼らの協力が普段の3倍に達することのある一方で、「君のせいで社長にプロジェクトがうまくいかなかったと言いたくはない」と言い放つことも、時には効果的だ(基本的には私はアメを使っている)。

さらに、インドではつねに「何かが起きる」。

リスク管理能力を含めた高い調整力が求められるし、初めの時点で、相手への期待値を下げておかなくてはならない。名刺を発注し、3日で完成すると言われたとしても、なかなか連絡が来ない。昇給したはずが、以前と同じ給与が払い込まれている。そう、すべては自分の責任で、プッシュしないのが悪いのである。何とも、とんでもない現場である。インドでやっていければ、世界のどこでもやっていける、そう私は思っている。

オフィスで開いてもらった盛大な誕生日会。チョコレートケーキを顔にべったりと(著者は中心、青いネクタイをしている)

4.普通だったら出席できるはずのない講演会や懇親会

インドに来たからこそ体験できた、貴重な機会についても紹介したい。

たとえば、天皇陛下がインドを訪れられた際、庭園で行われる懇親会に招待された。また、安部総理の訪印に際して、総理を招いた講演会が開かれたのだが、これも招待状が届き、出席した。

次期インド首相の呼び声が高いモディ氏が、日系大手企業の代表たちと懇親会を開く機会があったのだが、そこにもネズミのようにひとり若手として紛れ込んだのだった。モディ氏が部屋を出て行く際、偶然に目が合い、何の気なしに私は手を差し出した。すると、彼はその手を固く握り返してくれた。笑顔の中に光る、強いまなざしは今でも忘れられない。

私はとりわけ運がよかったのかもしれない。しかし、いずれにせよ、これらは日本にいたら経験できないことばかりであったに違いなかった。

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