「小さく、貧しく、老いていく」
ちなみに現在は、不況だなんだと言われても依然として底力を見せ続ける日本企業らの努力により、日本のGDPは、アメリカ、中国に次ぐ、世界第3位である。
ところが、経団連が設立した公共政策シンクタンク、21世紀政策研究所の予測では、悲観的に見れば今から40年を経ずして、日本はこのGDPランキングで世界第9位へと成り下がり、第1位と予測されるインドの15分の1ほどの経済規模になってしまうという。
これが現実になれば、将来、われわれの子供たちは、日本人がいまだ途上国と決め付けている国、ヨガ、カレー、アユールベーダの国の人々の機嫌をうかがいながら、仕事をするようになるということだ。
国債危機、高齢化社会、エネルギー問題、さまざまなリスクがこの日本を襲う。近年、顕著に悪化した東アジアの国際政治情勢を見ると、「大規模な戦争など絶対起きない」と言い切った世界的有識者たちの顔も、どことなくうさんくさく見えてくる。
なるほど、心地よい日本は長くは続かないようである。ある元・大物参議院議員は日本の行く末をこうまとめあげた。「小さく、貧しく、老いていく」、と。
日本人だって「出稼ぎ」をする時代がやってきた?
グローバル化の進展により、まさに、世界経済は殺戮のサバンナと呼ぶにふさわしい状況だ。さらに、日本の厳しい未来を予感させる流れは、すでに若者の日常にも迫り来ている。リーマンショック以降、就職率は軒並み下がり、就職氷河期と称される状況が長く続いた(今年はやや状況がよいようだが)。
しかし、どうだろう。そんななかでも、日本では若者の安定志向、内向き思考が指摘される。私には、彼らの行動がいまいち理解できない。沈み行く船に乗ったまま、身動きを取らずにじっといるその先に、何が待っているのだろうか?
つまり、言いたいことはこうだ。日本人だって、必ずしも日本で職を得て働くとはかぎらない時代、海外に出て、働き暮らしていかなければならないかもしれない時代に突入したのだ。
「大変そうだな」、と横目で見てきたほかの国の若者たちと同じように、自身の力で、海外に出て職を見つける、まさに「出稼ぎ」の時代がやってきたのである。
能力のある者はさらなる高みを目指し、将来の職への不安を抱える者はより多くの機会を求め、島国を出て海を渡っていくのだ。
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