今慌てて不動産を買っては絶対にいけない バブル崩壊の次のステージで起きることは

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さて、現時点でのコロナショックの状況についてまとめよう。

資本市場を中心に見ると、新型コロナウイルスによる肺炎の感染症は、当初、中国単独の問題で世界経済の足を少々(世界GDP成長率で1%未満)引っ張るものの先進国各国の経済は大丈夫だろうと思われた。だがその後の状況は、感染が欧米に広がって世界経済の急激でかつ多分大規模な収縮が予想されるようになり、株式が2008年のリーマンショック並みにパニック売りされたのが現在の状況だ。投資家の心理は「恐怖」に、懐事情は「現金確保」に傾いている。

もともと「アメリカの社債と株式はバブルを形成中だった」と本連載でも書いたが、さすがにここまで来ると、バブル形成の軌道に短期間のうちに戻ることは難しい。われわれは、バブルの崩壊過程をひとわたり経験することになりそうだ。

典型的には、今回のような資産価格の急落のパニック局面で金融機関の信用不安が起こる。これを中央銀行の流動性供給で救う場面が生じて、その後、金融機関のバランスシートが傷んでいるために信用の縮小が起こり(適当な日本語は「貸し渋り」や「貸し剥がし」)、これによってしばらく経済が落ち込む状況が来る。1990年代の日本のバブル崩壊過程でも、2007年のサブプライム問題から翌年のリーマンショックにつながった先の世界金融危機でも、こうしたプロセスをたどった。

コロナショックの次の注目点は何か?

しかし、今回は、金融的な問題の発生よりも早く、コロナウイルスが経済活動に急ブレーキを掛けた点が、これまでのバブル崩壊とは異質である。

次の注目点は、コロナ問題でダメージを受けた実物経済の悪化が、金融システムの不安につながるか否かだ。大手の金融機関が破綻したり、世界的な信用収縮(大まかに言うと銀行の貸し出しが減ること)が起こったりすると、金融の問題がさらに実物経済の悪化を招く、典型的なバブル崩壊と同じ経路の「2次被害」を生むことになる。

これを相場用語で言うと、「パニック売りの1番底から冷静になって戻った株価が、金融不安から2番底を探る展開になる」というような状況が想定される。こうなると不況は長引く。

もともとバランスシートが脆弱な欧州の銀行と欧州で深刻なコロナ問題の影響、大きく下がってシェールオイル採掘業者の破綻に繋がりそうな原油価格、など、数カ月単位の時間軸の中で、世界の株価が「2番底」に向かいそうな要因は少なくない。

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