加えて、日本の投資家は、コロナウイルスが中国の問題から欧米の問題になり、さらに日本国内の問題としてもっと深刻になった場合の日本経済への影響と、自分自身への影響の両方の問題を追加的に心配しなければならない。投資家にとっては、心配事が目白押しの現状だ。
後に理由を述べるが、さりとて「今投資をするな」とか、まして「リスク資産を売るべき」だ、という判断にはならないところが、投資の面白いところだ。
なお、金融機関のセールスの言うことを聞くような人は、今のようなときに外貨建ての生命保険や毎月分配型の投資信託のような「状況に関係なくつねにダメな商品」を買いたくならないだろうから、通常時よりは案外心配がなかろう。
ただし、読者の皆様には、「今、不動産は買うな!」と注意を申し上げておく。不動産価格は、株価に遅れて下落するのがつねだ。セールスマンは全力で売ろうとするだろうが、今は踏みとどまるべきだろう。また、地方の銀行・信用金庫等の預金金融機関で有価証券運用の割合が大きい先について、運用の失敗による損失が問題になるリスクを考えておくべきだ。預金保険の保護対象制限である「1人、1行、1000万円」は守っておくほうがいい。
コロナ経済対策は「早く・たくさん・公平に!」
コロナは怖いが、各国の政府が打ち出す大規模な経済対策も軽視はできない。わが国の経済対策は、安倍首相が「かつてない規模で」と述べているが、現在策定中だ。評価や批判は対策が出そろってから改めてやるとして、「あるべき対策」について述べておく。
コロナ問題に対する経済対策は、経済の急停止に伴って急激に経済的に困窮した人に対する「一時的生活保護」対策と、コロナ以前から消費増税で悪化していた景気への浮揚策の2つが必要だ。とくに、前者は急ぐ。コロナ問題の経済対策は、(1)早くやらなければならず、(2)十分な規模が必要で、(3)公平でなければならない。
結論を言うと、「早く」「無条件で」「十分な現金」を給付せよということだ。それ以外にない。
対象者を絞り込む議論は何よりも時間がかかるし、結論は不公平にならざるをえない。また、「和牛券」のようなものでは、時間も掛かるし、家賃も、子供の授業料も払えない。何にお金が必要なのかは、個々の国民が判断したらいい。政治家や官僚が決められる問題ではない。また、コロナ問題は影響の表れ方が急なのだから、戦力の逐次投入的な小出しの対策は愚策だ。給付の規模が大きすぎたら、後に増税で回収すればいい。間違えるなら、今は、「過剰」のほうが「不足」よりずっといい。
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