「資本論」が「生き延びるための武器」になる事実

19世紀イギリスにマルクスが見た不変の原理

マルクスなら今の格差社会をどのように分析するだろうか(写真:サイクロン/PIXTA)
世の中に『資本論』入門書は数多くあるが、その入門書を学生や社会人が読んで『資本論』そのものをはたして読みたくなるだろうか。
こうした問題意識をもとに書かれた『武器としての「資本論」』から一部を抜粋。「こんな世の中をどうやって生き延びていったらいいのか」、その考え方を著者の白井聡氏が論じる。

「入門書」ではなく『資本論』を読みたくなる本

マルクスについては、自分なりにいささかの勉強をしてきたつもりです。しかしマルクスに関するまとまった論文なり本なりを書いたことはまだありません。そこでこのあたりで1つ、私なりの『資本論』の読み方、「自分がマルクスから何を学んできたか」についてまとめてみたいという気持ちがあって、『武器としての「資本論」』にまとめることになりました。

『武器としての「資本論」』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

世の中に『資本論』入門という体裁をとった本、あるいはマルクス入門という体裁の本は、大変な数に上るでしょう。アマゾンの検索で、「資本論入門」「マルクス入門」といった語を入れて調べたら、おそらくうんざりするぐらいの、とてもではないが読み切れない数の本が挙げられてくるだろうと思います。

にもかかわらず、なぜやるのか。

私は以前から大学で「マルクス入門」的な講座を持ったり、あるいは学生に「資本主義社会とはどういうものなのか」を説明するために、マルクスの見方を紹介するといったことをやってきました。その際の不満として、適当な教科書がないということがあります。

「『資本論』はこういうふうに書かれていて、こういう議論がされています」と懇切丁寧に、順番どおりに説明をしていく誠実な入門書ということであれば、もちろんいろいろあります。日本のマルクス研究は膨大な蓄積がありますから、それらは学術的水準が高いものが多いです。海外の優れた解説書の翻訳も多数あります。

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