おせちの中に世相が見える、戦略が見える!《それゆけ!カナモリさん》

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■おせちの全体傾向は?

 おせちブームである。景気の低迷によって、「年末年始の旅行は控えるけど、せめてお家でちょっと豪華なおせちを食べましょうね」ってわけで、2000年ごろからブームに火が付いた。金融ショックの余波が続く今年は、さらにそれが加速、家族と自宅で過ごす人が多いとみられ、百貨店各社はしのぎを削る熱い戦いを繰り広げている。

 2009年11月30日付け産経新聞朝刊の記事では紀文の調査を紹介しており、20代の89%が正月を「子供に伝承したい日本文化」と感じているという一方で、おせちを自宅で用意する割合は36%(全体59%)と若い世代ほどおせちを外で買う傾向が顕著になっている。

 まずは、価格戦略(Price)に注目してみよう。おせちも景気動向の影響は否めない。そのため、「1万円おせち」などのロープライス路線の拡充は各社とも意識しているところだろう。しかし、松・竹・梅でついつい、「竹」を選んでしまう日本人の性格。金が余っている団塊世代退職組のために、高価格帯も手を抜けないし、百貨店によっては10万円の強気商品を展開している例もある。ただし、ボリュームゾーンはあくまで中価格帯。そこへどううまく誘導するか。そして手堅く低価格帯も展開するというのが大雑把な印象である。

 2009年11月7日付読売新聞朝刊の記事によると、売れ筋は2~3万円の商品といい、そごうと西武は2万1000円までの商品を昨年より10点増やして68点に、東急百貨店も2万円台を、昨年より2割多い約80点に充実という。

 では、そのおせちはどのような製品戦略(Product)がとられているのだろうか。記事の中では、「お値打ち」「組み合わせ自由」「ヘルシー」などのキーワードがあがっている。

 今年気になるのは、「おひとり様おせち」を展開している百貨店が目につくことだ。少子高齢化に晩婚化、非婚化が進んで「正月に一人でおせち」に対応することはもちろん、「個食化志向」への配慮であろう。子供用と称して「キャラクターおせち」があったり、若い人向けに「若手料理研究家プロデュースおせち」があったりと、おせちはそれぞれ一人一重になっていくのではないか、と思える様相である。筆者としては、ギャル対応のスワロフスキー仕様、デコデコお重が見てみたかった……。

 定番の「老舗のおせち」はしっかりと存在感を示している一方、それぞれの郷土の味が楽しめるタイプも充実を図っているようである。「おせち市場」はまだまだ、市場のパイが拡大するであろう成長期なので、商品そのものの工夫のしがいはあり、例年にも増して多様化しているようだ。

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