高額訴訟は二審も敗訴、ユニクロは変わるか

名誉毀損2億2000万円請求裁判の顛末

柳井正・ファーストリテイリング社長はどう対応するのか

2度目の判決も、やはり「完敗」だった。ファーストリテイリングと子会社のユニクロが、名誉毀損で文藝春秋を訴えていた裁判で、東京高等裁判所は3月26日、原告側の請求をすべて退けた一審判決を維持し、ユニクロ側の控訴を棄却した。

2011年6月、ユニクロ側は国内店舗や中国の生産委託工場における過酷な労働環境をレポートした、「週刊文春」ならびに同社が発行した書籍『ユニクロ帝国の光と影』(横田増生著)における記述が名誉毀損に当たるとして、書籍の発行差し止めと回収、謝罪広告および2億2000万円の損害賠償を求め、東京地方裁判所に提訴した。

争点は元店長の発言の信憑性

「11月や12月の繁忙期になると、月(間労働時間が)300時間を超えています。そんな時は、タイムカードを先に押して、いったん退社したことにしてから働いています。本部ですか?薄々は知っているんじゃないですか」。

一審で国内の労働環境について争点となった記述は事実上、現役店長の発言であるこの1カ所のみだった。「週刊東洋経済」が昨年3月9日号「ユニクロ 疲弊する職場」でも指摘した、長時間労働とサービス残業の有無が焦点となっていた。

東京地裁は昨年10月18日、この店長の話は信用性が高いとするなど、国内店舗の労働環境に関する記述を「重要な部分が真実」と認定した。また中国の工場における長時間残業についての記述も、「重要な部分が真実であると判断したことには相当の理由がある」と認めた。この判決に対してユニクロ側は、「不自然なほど極めて限定的に事実であると認定されている」「あいまいな聴き取りを正当な取材と認め、軽率に結論付けられている」と強く反発。判決を不服として東京高裁に控訴していた。

控訴審においても、ユニクロ側は「国内の店舗に関しては、時間外長時間就労に対する懲戒処分の履歴を明らかにすることにより、真摯に時間外長時間労働の防止に努め、その結果、月間240時間を就労時間のリミットとする職場秩序を作ってきた」「中国の生産委託工場において、コードオブコンダクト(行動規範)を設け、その遵守を工場側に求め、また、外部の監査会社に委託した定例監査を通じて、生産委託工場の労働条件を恒常的に監視してきた」ため、摘示事実は真実ではないし、真実と信じるについて相当な理由はないと主張してきた。

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