ユニクロが香港上場、アジア拡大にアクセル 海外上場でブランドの認知度向上を狙う

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2013年9月には上海に旗艦店をオープンした

カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは1月27日、香港証券取引所に上場することを発表した。海外上場を通じて、ユニクロは中華圏や東南アジアでの店舗拡大に一段とアクセルを踏み込む。

上場予定日は3月5日で、HDR(香港預託証券)の方式をとる。これは発行済み株式を裏づけとしたHDRを発行することで、通常の株式と同様に売買できる仕組み。香港は「第2上場」の位置づけであり、あくまで東京証券取引所がメイン市場だ。

香港市場にはこれまで日本企業が3社上場している。たとえば、2011年4月にHDR上場をしたSBIホールディングスや、12年8月に単独上場をしたパチンコホール大手のダイナムジャパンホールディングスは、いずれも上場時に約200億円の資金を調達した。

一方、今のところファーストリテイリングは香港上場で資金調達を予定していない。狙いは、「ブランド認知度をより一層高め、地域に浸透していくこと」(岡崎健CFO)。国内市場が頭打ちの中、グループの成長ドライバーであるアジア地域のユニクロの出店を一層加速させる構えだ。

急拡大するアジア事業

ユニクロの海外展開は01年に出店したロンドンがその始まりだ。近年は、ブランドの浸透を背景に急拡大を遂げている。3年前、全体の1割に満たなかった海外事業の売上高は、現在35.4%、店舗数で37.4%(13年8月期末)と3分の1以上を占める規模にまで成長した。

上海店開業のセレモニーに姿を見せた潘寧・中国ユニクロCEO。アジアの拡大展開を担うキーマンの一人だ

中でも、中国をはじめとしたアジア地域の出店攻勢は特に目覚しく、中国ユニクロは10年8月末の54店舗から13年11月末時点では251店舗と、3年余りで5倍近くにまで拡大した。

柳井正社長は中国で「2020年までに1000店舗」という目標を掲げており、昨年9月に上海に旗艦店をオープンした際、潘寧・中国ユニクロCEOは「内陸にも入り込み、年間80~100店舗の出店を維持したい」と述べるなど、さらなる拡大展開に余念が無い。

 中国だけでなく、14年を「グローバル化元年」と位置づけるユニクロは、東南アジアでの集中出店を今期から積極化。13年6月に初出店を果たしたインドネシアでは冬に2号店・3号店を続けて開いたほか、マレーシアやタイでは13年8月期の14年8月期は20店舗に倍増させる。

 ただ、こうした大量出店を継続するためには、アジア現地の店舗スタッフや幹部候補となる優秀な人材の確保が不可欠だ。今回の香港市場への上場は、ユニクロブランドを地域に浸透し「優秀な方を採用したい」(岡崎健CFO)という狙いもある。初の海外上場をテコに、上り調子の海外ユニクロの成長を維持できるのか。香港市場はその試金石となる。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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