犬猫売るほど飼育放棄が頭をよぎる店員の苦悩

命を商品として扱うことに耐えきれなくなる

元ペットショップ店員が現場での苦悩を語ります(写真:リディラバジャーナル編集部)

「店から課されていた売り上げ目標を達成できたときはうれしかった。でも、売れば売るほど『自分たちが不幸な犬猫を生み出す一因になっている』という事実が、心に重くのしかかってきました」

大手ペットショップチェーンで約3年間働いていた男性は、当時抱えていた葛藤についてこう振り返る。

近年、ペット産業の問題が明るみに出たことでペットショップは世間から批判されるようになった。冒頭の男性は「毎日クレームの電話がかかってきていた」と話す。

“売れ残り”や病気の犬猫が不衛生な環境に置かれ、遺棄されたり死亡させられている。来店者に飼育責任の説明を十分に行わず、子犬子猫を衝動買いさせることが飼い主の飼育放棄を促進させている。

こうした報道を現場のショップ店員はどう捉え、どういった心境で働いていたのか。元ペットショップ店員に話を聞いた。

「売り上げアップ」と動物愛護のはざまで

――当時の業務内容について教えてください。

出勤したら、まず何らの病気にかかっている犬猫の様子を見ます。僕の働いていたペットショップには専属の獣医師さんがいて、週1回診察に来ていました。そのときにもらった処方箋を与えて完治させたら販売していました。

その後は店内を掃除。終わったら犬猫を購入されたお客様のアフターフォローですね。電話でしつけのやり方やご飯のあげ方などの相談に対応していました。

https://journal.ridilover.jp/issues/500?journal_user=journal_user_3691&journal_token=20200318134226P5qtOfamzjWgkEvnKY
当記事は「リディラバジャーナル」からの転載です(元記事はこちら)。同サイトは有料会員制メディアです。リディラバの考え方はこちらをご覧ください。

日中は、ほぼ店頭に出て接客していました。ショッピングモール内にある店舗だったからか、来店者の9割はふらっと立ち寄った方。そういった方々にはまず子犬子猫を抱っこしてもらい、直に触れてもらいながら品種や飼育方法の説明をしていました。

――「抱っこ商法」と言われるものでしょうか。これは衝動買いにつながるという指摘もありますが。

 そうですね……。僕らは営業職なので毎月の売り上げ目標があります。

それを達成するためには「来店者にいかに買わせるか」を考えないといけない。日本人は子犬子猫を欲しがる傾向が強く、抱っこして愛着を持ってもらうことで購買意欲を高めようとする意図はありました。

ただ、購入されたお客様には「最後まで責任を持って飼ってください」と必ず伝えていました。犬猫の健康診断の結果等を記載した検査済証や、飼育方法について書かれた母子手帳なども読んで説明していました。

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