犬猫売るほど飼育放棄が頭をよぎる店員の苦悩

命を商品として扱うことに耐えきれなくなる

飼うと決めたときのお客様は気持ちが高まっているので「書類等は家に帰って冷静になったときに改めて読んでください」とも伝えていました。

もっと売りたいと思う一方で「無理やりには売りたくない」「動物を大事にしない人には渡したくない」という気持ちもあって。そこのせめぎ合いは常にありました。

「抱っこ商法」が衝動買いにつながることもあります(写真:リディラバジャーナル編集部)

――犬猫はどうやって仕入れていましたか。

まず、犬猫をブリーダーから競り落とすペットオークションは通していませんでした。犬猫の健康状態をちゃんと把握できないからです。

うちの場合は、社内のバイヤーが契約しているブリーダーに直接買い付けに行き、犬猫の状態を見て健康な子を選別していました。

そこで選ばれなかった子はブリーダーが直販で売ったり、里親を募集したりして引き取り手を見つけていました。それでも選ばれない子についてはどうなったのかわかりません。

ちなみに、不衛生な環境で犬猫を飼育しているブリーダーには指導を入れさせてもらうこともありました。

「飼育責任の説明」を軽視する店員もいた

――仕入れた犬猫はどういった経路で店頭に並ぶんでしょうか。

僕の勤めていた会社の場合は、まず売れ行きの良い大規模な店舗に並べられます。そこで売れ残ると同系列の中規模な店舗に移動する。そうして、どんどん小規模で売れにくいところへ流れていきます。

ペットショップでケージに入る犬たち(写真:リディラバジャーナル編集部)

ただ、約3年働きましたが、僕のいた店舗では売れ残りは一頭も出なかったですね。

少し年を重ねて大きくなった犬猫も、他の店舗へ移される前に値段を下げて売り切っていました。

 

一方で、これは自戒も込めてですが、売り切ればいいというわけでもない。店員の中には売り上げ第一で飼育責任の説明を軽視する人もいました。購入時の説明を怠ったせいで、飼育を放棄した飼い主がいたという報告もありました。

「売り切った」という結果は聞こえがいい。でも犬猫の幸せを考えると、それが絶対に正解とも言い切れません。

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