「不倫した芸能人」がCM業界から追放される理由

なぜ今も矢口真里にCMを頼みづらいのか?

「打ち切られたらどーしてくれるんだ!」の一言に、この思いがすべて詰まっていた。彼女がしていたのは不倫ではなく、あくまでも交際だが、清純派で売ってきただけに、交際であってもイメージに反すると社長は考えたのだろう。もう大人なんだから自由恋愛でいいじゃないか、といった正論はCMの世界では通用しないのである。

広告代理店やスポンサーの人間は、それほどタレントの恋愛や不倫、スキャンダルに目ざとい。

「結婚」でさえ業界では問題視される

ある女優が結婚をした際、事前にスポンサーには伝えられていなかった。土曜日のスポーツ紙にスッパ抜かれ、すぐさま広告代理店は彼女の所属先である事務所の人間を呼びだし、事情を聞き、休日だというのに対策会議を開いた。結婚自体はめでたいことではあるものの、相手の男性が過去にチャラいことをしていたような「ウェイ系の人物」だったことが問題視されたのだ。

結局「そこまで商品のイメージは落ちないだろうし、彼女の結婚は歓迎されるだろう」という判断でCM中止や、動画削除などの処置は取られなかった。CMに出演する人間のステータス(状況や社会的地位)が企業や商品に及ぼす影響は大きいため、彼女の結婚が問題視されたのは仕方がないことだろう。

となれば、広告代理店やスポンサーは、芸能人が不倫をした場合は即アウトと判断せざるをえない。

何しろ「幸せな夫婦役」(レトルト食品や調味料、洗剤、ファミリーカー、住宅など)、「明るくはきはきとした清純派お姉さん」(お菓子や清涼飲料水)、「表裏のない熱血漢」(スポーツドリンク、エナジードリンク、缶コーヒーなど労働者賛歌系演出)などのCMでは、不倫が持つ「ドロドロ」「裏切り」「実は夫婦生活崩壊」「妖艶」といったイメージはノイズになる。

不倫が報じられた芸能人が優しい夫や妻を演じているのを見たら興ざめするし、場合によっては不買運動を起こされるかもしれない。だからこそCMの契約書には「ステータスを変えない」という条項が入っているし、「不倫もご法度」と最近は明記されている。

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