ピケティ「21世紀の資本」が映画化された背景 資本主義問う経済書をドキュメンタリーに
フランスの経済学者、トマ・ピケティ・パリ経済学院教授が2013年に出版し、世界的なベストセラーとなった『21世紀の資本』は、「格差社会における不平等の真相」を膨大なデータとともに解説した経済書である。世界35カ国で翻訳され、300万部を突破。日本でも翌2014年に翻訳され、13万部以上を売り上げている。
ピケティ教授が指摘する現代の資本主義社会は、わずか数パーセントの金持ちに富が集中してしまい、それ以外の富を持たざる者たちと分断されてしまっているというもの。
ピケティは過去300年のデータを駆使して、資本収益率が経済成長率を上回る「r>g」という不等式で、資本主義の矛盾を表現。そうした社会のありようについて経済、歴史の両面からひもといてみせた。
そして先行きが不透明な時代を生き抜くためのヒントを得ようと、多くの人が書籍を手にした。だが、ピケティ教授がおよそ15年かけて完成させたという著書は、日本版で728ページ、定価が6050円(税込み)というなかなかのボリュームで、読みこなすことが難しかったという声もしばしば聞こえてきた。
原作者のピケティ自ら出演・監修
それでも「世界の知識人にとっての必読書」と言われる本書をなんとか読み解こうと、多くのサブテキストや解説書が発売され、書店にも多く並んでいたことも記憶に新しい。
そんなピケティ教授の『21世紀の資本』を読み解くための、新たな指針となりそうな映画が3月20日より新宿シネマカリテほかにて全国順次公開される。フランスとニュージーランドの合作映画となるドキュメンタリー映画『21世紀の資本』がそれだ。この作品には、ピケティ教授本人が映画制作にも参画しており、脚色・監修・出演の3役を務めているということも、注目のポイントとなっている。
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